金融庁は、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」を、2019年6月3日に公表しました。
基本的には、公的年金では老後を乗り切れないから、投資(特につみたてNISA・iDeCo等)をしなさいという内容です(詳細は附属資料1「高齢社会における資産の形成・管理での心構え」に記載)。
金融機関側の対応についても後ろの方でふれています(詳細は附属資料2に記載)。
金融庁が何をやるかについては特に書かれていません。
ワーキンググループの委員は、社会福祉の学者なども少し入っているようですが、金融商品を売る側の人や商法・金融論の学者がほとんどのようです。
人生100年時代、2千万円が不足 金融庁が報告書(日経)
「公的年金制度に頼った生活設計だけでは資金不足に陥る可能性に触れ、長期・分散型の資産運用の重要性を強調した。」
「報告書では現役時代から長期積立型で国内外の商品に分散投資することを推奨。定年を迎えたら退職金も有効活用して老後の人生に備えるよう求めた。」
「年金減る事実を」揺れた報告書 国民に「自助」勧める(朝日)(記事の一部のみ)
「報告書「高齢社会における資産形成・管理」は、現役期・退職前後・老後の高齢期に分け、資産形成や運用などの自助に取り組む必要性を国民に訴えている。」
やや言いがかり的な感じもしますが...
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金融庁が「年金給付はこれから下がる、2000万円貯めておけ」の報告書!“年金は安心”の嘘を自ら暴露する安倍政権(リテラ)
「小泉純一郎政権の2004年に「年金100年安心プラン」を謳って年金制度改革をおこない、それに則って安倍第二次政権でも、厚労省は「公的年金は大丈夫!」とPRを展開してきた。現役世代の手取り収入に対する年金の給付水準50%を100年間維持するという約束のもと、安倍首相は「年金の受給者に年金を払えないという状況にはまったくなっておらず、年金制度は破綻しているとのご指摘は当たらない」などと強弁してきたのである。
しかし、それがどうだ。今回、金融庁は「年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい」「年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある」と、安倍政権がけっして語ってこなかった見立てを公表したのである。
しかも、だ。この金融庁の報告書では、“平均的な高齢夫婦の無職世帯では毎月の赤字額は約5万円”とし、その先20〜30年生きた場合は不足額が約1300〜2000万円になると計算。その上で、現役期のあいだから投資などで資産運用をおこなうことが望ましいなどと提言している。
「老後は年金に頼るな」と言い、「若いうちから2000万円の赤字を補填する蓄えを考えろ」と迫る──。まったくふざけるな、の一言だろう。たとえば、2017年の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2人以上世帯で運用や将来への備えなどを目的とした金融資産が「ない」と答えた世帯の割合は31.2%にものぼり、過去最高を記録した。」
「日刊ゲンダイが“投資に回す余裕のない世帯はどう努力するのか”と訊いたところ、金融庁の市場課は「そもそも、お金を預けられない人は対象外」という信じがたい回答を寄せている。つまり、生活がカツカツな国民は、高齢化社会対策の議論において、そもそも無視されているというわけだ。」
「「年金に頼るな」と責任を投げ捨て、高齢者に「死ぬまで働け」と要求し、老後の貯蓄のために投資などする余裕がない国民には目も向けない。──もはや安倍政権の社会保障政策は、すでに破綻している。そう言っていいだろう。」
“年金あてにせず金貯めろ”報告書の金融庁を直撃したら…「年金給付は下がる」「年金安心かは厚労省に」(リテラ)
「――アメリカの場合は、富裕層の伸び率がすごいだけでしょう。それともうひとつ、カツカツのなかでも貯蓄や投資に回せ、個人で貯めていかないといけないという政策は、マクロ経済政策としてみても逆行しているとしか思えません。将来不安が消費の冷え込みを招き、それが日本経済の成長の最大の妨げになっているのに、その消費をさらに冷え込ませるよう、使うな、貯めろといっているわけですから。
たしかに若い20代、30代の方で、社会保障制度に不安をもっているという声はデータとしてありますし、いま使うところを節約して、消費を落として将来に備えようという動きもよく指摘されているところだと思います。ただ、ある種ですね、これは自身の資産がどれくらい足りないのか、逆に足りるのかという見通しが、やっぱりわからない、見えないというところもきっと影響しているかと思います。その意味で、自身の収入や資産を将来に向けて見える化されることで、じゃあ今使っていい金額はどれくらいなんだというところが見えてくるといことから、それが逆に消費に使ってもいい金額、っていうふうにもつながってくるかとも思います。ので、そういった道で、ある種、消費を、使うべきところで使うところの道も、いま申し上げたようなルートからあり得るんじゃないかなというふうには思っています。
――いや、消費を妨げることになるのは明らかですよ。
その意味では、お答えになってない部分はあるかと思うんですけども。あくまで消費というところは、経済全体で見ると活性化させることが非常に重要だとは思います。ただ、いまの現状としては、消費を手控えるという動きもあるので、そういった意味ではやはり将来の資産というところを、見える化というかそこに備えて使うべきところを使うというところは、考えられる一つの手段であってもいいのではないかと思っています。」
貯蓄に回す部分を増やしたら消費が増えるというのは、会計士試験の経済学でも出てこない珍理論です。
国民にああしろこうしろとお説教している部分をなくして、金融庁が監督している金融機関がやるべきことだけを書き込めば、反発はなかったのでしょう。そもそも、普通の人は、金融庁(金融審議会)の報告書を読んだりしないと思いますが...
3世代での資産形成を 金融庁が報告書 自助の重要性を強調(産経)
「5月の報告書案では、公的年金の給付水準について「今までと同等と期待することは難しい」などの記述があり、「政府が“公助”の限界を認めた」などと話題になった。金融庁は今回、「年金制度について議論してきたわけでないので、そこに注目が集まるのは望ましくない」として該当の記述を削除した。」
(補足)
日本金融ジェロントロジー協会初会合 「高齢者に対する金融サービス充実を」(産経)
「顧問に就任した駒村康平慶応大ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長は講演で「将来は多くの国民が認知症を患う可能性がある。トラブル回避のため口座を凍結するような対応よりも、むしろ金融サービス充実に努めるべきだ」と訴えた。」
高齢者の資産運用、金融機関が悪用しそうな「4つの言葉」にご用心(DOL)
「金融機関側から見ると、ただでさえお金を持っているのが高齢者なのに、顧客が75歳、80歳と年齢を重ねると、顧客に対する勧誘ができにくくなることが大問題だ。比喩的に言うと、今後の高齢化の進展に伴って、貴重な「カモ」が撃ってはいけない禁猟区に自動的に送り出されて行くので、何とかしなければならないというのが彼らの問題意識だ。これは、近年、「フィナンシャル・ジェロントロジー(金融老年学)」に関心が高まっている背景の一つだろう。」
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