日産ゴーン事件の役員虚偽記載事件の部分について、東京都の男性が、日産の西川広人社長を不起訴とした東京地検特捜部の処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てたという記事。
「男性の代理人の郷原信郎弁護士は同日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「犯罪行為の主体は報告書の提出者である西川氏。不起訴処分は納得できない」と述べた。
男性は西川氏が報告書の代表者だった平成28、29年度分について、西川氏も虚偽記載を認識していたとして刑事告発したが、特捜部は今年4月26日に嫌疑不十分で不起訴とした。」
郷原弁護士がブログでさらに詳しく説明しています。
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日産西川社長に対する「不当不起訴」は検察審査会で是正を(BLOGOS)
引用されている審査申立書(一部)より。(被疑者というのは西川社長のことです。)
「日産が法人として起訴された有価証券報告書のうち、平成23年3月期から平成28年3月期の作成提出者は代表取締役CEOのゴーン氏、平成29年3月期及び平成30年3月期については、代表取締役社長(CEO)の職にあったのは被疑者であり、これら2年分の有価証券報告書の作成・提出を行ったのは被疑者である。
したがって、かかる2年度分の有価証券報告書については、被疑者が「(重要な事項について虚偽の記載があることを認識して)報告書を提出した」という事実がなければ、法人としての日産が刑事責任を問われることはない。
検察官は、平成29年3月期及び平成30年3月期について報告書を提出する義務を負う代表取締役の被疑者の犯罪行為を立証する証拠が十分と判断したからこそ、法人としての日産を起訴したのであり、そのことを前提とすれば、被疑者について「犯罪を証明する証拠が不十分」ということは、論理的にあり得ない。」
「被疑者が代表取締役社長(CEO)の地位にあった平成29年3月期及び30年3月期については、経営最高責任者の被疑者が関与することなく、日産のゴーン氏への支払を確定させることはできないはずである。検察官が主張するように、退任後のゴーン氏への支払が「確定していた」のであれば、被疑者が、その「確定」に関与していたことになる。
実際に、マスコミ報道(朝日、日経、NHK等)では、被疑者は、「退任後の報酬の合意文書」、すなわち、ゴーン氏の退任後にコンサル契約や同業他社の役員への就任などを禁止する契約の対価として支払う報酬額を記載した「雇用合意書」というタイトルの文書に署名していると報じられている。
平成29年3月期及び30年3月期については、経営最高責任者である代表取締役CEOの被疑者が合意書に署名しているからこそ、検察官は、退任後の支払が確定しており、その金額を含まないゴーン氏の役員報酬についての記載が虚偽だと主張しているのである。そのようにして、ゴーン氏の退任後の報酬の支払を確定させることに関わったのであれば、被疑者に、退任後の支払についての「認識」があり、「故意」があることは明らかである。」
「なお、上記のとおり、検察官にとって、日産の代表取締役社長の被疑者を「嫌疑不十分」で不起訴とすることはあり得ないにもかかわらず、そのような裁定主文による不起訴処分の通知が行われたことに関して「ヤミ司法取引」の疑いがあることも、本件審査に当たって考慮されるべきである。」
日産西川社長の不起訴処分で検察審査会に審査申し立て-弁護士(ブルームバーグ)
「郷原弁護士が提出した審査申立書では、西川氏の不起訴処分を不当とする理由として有価証券報告書の虚偽記載の罪の主体は「報告書の提出者」であるとして、代表取締役社長として虚偽の記載がある報告書を提出した分について西川氏にも責任があるなどとしている。」
「日産広報担当のニコラス・マックスフィールド氏は司法の決定や手続きに関してはコメントできないとした上で、現在の状況を深刻にとらえており企業統治や法令遵守の強化を継続して会社の情報に関して正確な開示に務めたいとした。」
日産社長不起訴で検審に申し立て(NHK)
「男性の代理人の郷原信郎弁護士は4日都内で記者会見し「有価証券報告書にうその記載をする罪は、報告書を提出した者を罰するものであり、西川社長が嫌疑不十分とされたことは全く理解できない。西川社長もゴーン前会長と同じように起訴し、裁判所に判断を委ねるべきだ」と述べました。」
司法取引については...
司法取引、日本版導入1年で浮かんだ戸惑いと課題(日経)(記事冒頭のみ)
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