金融機関によるトランジション・ファイナンスを通じた脱炭素化支援を推進していくための官民の取組について
金融庁・経済産業省・環境省は、民間金融機関10社とともに、「金融機関によるトランジション・ファイナンスを通じた脱炭素化支援を推進していくための官民の取組について」という文書を公表しました。
「トランジション・ファイナンスの重要性及びファイナンスド・エミッションにかかる課題の整理を行い、G7やG20を含めた政府間トラックや民間イニシアチブに対して発信するため」のものとのことです。
ファイナンスド・エミッション(投融資に伴う排出量(financed emissions))という概念が重要なようです。
「financed emissions は、金融機関における投融資先に内在する気候関連リスクや脱炭素化に向けた取組状況について容易に比較・評価出来る指標であり、定量的に取組状況の進捗が把握出来るという大きなメリットがある。したがって、TCFD や ISSB にて、financed emissions を含む Scope 3 の開示を求める方向で議論が進められている等、financed emissions が金融機関自身のネットゼロに向けた取組の評価指標として活用されつつある。」
それに対する批判も述べています。
「一方、脱炭素化に向けて最も資金を必要とする多排出産業に対して新たに資金供給を行い、それが実体経済における排出量削減に繋がっている場合であっても、これを通じて、当該金融機関の視点では一時的にfinanced emissions が増加する可能性がある。financed emissions の数値そのものからは企業の排出削減に向けた戦略や行動等への評価を行うことが難しいため、足元の financed emissions のみを重視した場合、金融機関において、ネットゼロに向けた中間目標の達成に支障をきたす financed emissions の一時的な増加を忌避し、長期的に見れば脱炭素化に資する投融資を控える行動が生じ得る。」