迫る規制と価格下落の足音(記事冒頭のみ)
仮想通貨信奉者と仮想通貨を信じない者の間には深い対立があり、後者である各国政府や中銀は、規制を強めようとしているという論説記事。
「仮想通貨信奉者に言わせれば、中央銀行は信用できない。中銀はドルなど紙幣を増発し法定通貨の価値を落とした。規制当局は既存の金融制度の下に一般人を閉じ込めておこうとしている。各国政府も中銀も自分たちが制御できない仮想通貨を注意深く監視しており、今にも仮想通貨を潰そうと目を光らせている、とみている。
この見方に一抹の真実はある。仮想通貨は今はほぼ規制されないまま活況を呈しているが、今後は強まりそうだからだ。」
当局による監督強化・規制強化の例や仮想通貨に対する冷たい見解が列挙されています。
「18日に中国人民銀行(中央銀行)が金融機関に暗号資産を決済に利用しないよう警告すると、翌19日にビットコインを含む仮想通貨は30%も暴落した(その後、大幅に反発したが)。中国人民銀行は仮想通貨は「現実の通貨ではない」と断じた。数日後には中国のある地方政府は住民に、仮想通貨のマイニング作業を発見したら電話で緊急通報するよう呼びかけた。」
「ビットコインが急落していた19日、欧州中央銀行(ECB)は暗号資産コミュニティーに爆弾を投げ込んだ。同日発表の金融安定性報告書で、仮想通貨のここ数カ月の高騰ぶりは1600年代のチューリップバブルや1700年代の南海泡沫(ほうまつ)事件もしのぐと指摘。ビットコインは「リスクが大きく投機的」であり、「二酸化炭素(CO2)排出量が膨大で」「非合法な」活動と結びつきかねないと警鐘を鳴らした。
ECBが最も辛辣だったのは、仮想通貨は決済に広くは使われておらず、ユーロ圏の金融機関も仮想通貨をほとんど保有していないので「現時点の金融システムに及ぼすリスクは極めて低い」と断じた点だ。
要するに仮想通貨の相場が急落してもECBが介入する理由はないから仮想通貨保有者は自分で自分の始末をつけよ、ということだ。
同じ19日、米連邦準備理事会(FRB)の地区総裁2人も仮想通貨の下落が金融システム全体を揺るがすと考えるべき理由は見当たらないと述べた。セントルイス連銀のブラード総裁は「仮想通貨が非常に変動しやすいのは周知の事実」と述べた。アトランタ連銀のボスティック総裁も「仮想通貨は経済に浸透するほど普及していない」と指摘した。20日にはパウエルFRB議長が、一部の仮想通貨の技術は「リスクを抱えている」と述べ、監視を強化するとした。
5月初めには、イングランド銀行(英中央銀行)のベイリー総裁が仮想通貨については率直に語ると前置きして、こう述べた。仮想通貨には「本質的価値はない」と。そして「有り金をすべて失う用意があるなら買えばいい」とまで発言した。」
「ECBもビットコインのマイニングによる莫大なエネルギー消費の事実を指摘したように、CO2排出の観点から仮想通貨を問題視する向きも強まっている。何しろ全世界でビットコインのマイニングに消費される電力は、パキスタンの全電力消費量を上回る。」
仮想通貨にのめり込んでいる会社は、警戒しないといけないのでは。
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