会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

市場へのメッセージ(令和3年1月25日)(虚偽記載事件2件など)(金融庁)

市場へのメッセージ(令和3年1月25日)

金融庁の証券取引等監視委員会の広報資料です。

最近摘発された虚偽記載事件2件の簡単な解説が含まれています。

1.イオンディライト

(A社というのは連結子会社です。)

「A社が行った不適正な会計処理の概要は、次のとおりです。

(1)架空売上の計上による売上の過大計上

未設置物件に関する架空売上の計上

 コピー機や証明写真機(以下「コピー機等」といいます。)の販売、保守等を行っていたA社は、コピー機等のレンタルを行うB社とスーパー等とのレンタル契約締結を前提として、当該スーパー等にコピー機等を設置し、その設置分について売上計上していました。また、A社とB社との間では、B社がスーパー等からコピー機等設置を確認した旨の書類(以下「確認書」といいます。)を受領した後、A社にコピー機等の代金を支払うことで合意していました。

しかしながら、A社は、設置していないコピー機等について、B社へのレンタル料金をA社が補填することを前提として、スーパー等に虚偽の確認書を徴求し、その虚偽の確認書をB社に提出して架空売上を計上しました。

当社は、設置したコピー機等について売上を計上するという会計処理を採用していたことから、A社による設置していないコピー機等の売上を連結財務諸表において売上として計上することは認められないにもかかわらず、当該売上は当社の連結財務諸表において売上として計上されました。これにより、当社は売上を過大に計上しました。

② 販売していない物件に関する架空売上の計上
(省略)

(2)コピー機等に関する仕入の未計上による売上原価の過少計上
(省略)」

コピー機や証明写真機をスーパーなどに設置した時点でB社に売上計上すべきところ(その時点からB社にはレンタル収入が発生するのでしょう)、設置していないのに売上計上したという粉飾です。未設置なので、B社に収入が入らず、すぐにばれるはずですが、そのレンタル料金をこっそり補填していたということのようです。(スーパー側も共謀していたのでは)

2.ジャパンディスプレイ

「(1)架空の期末在庫の計上による売上原価の過少計上

 当社は、期末在庫について、適切な加工進捗率を用いて評価すべきところ、加工進捗率の水増しを行い、架空の期末在庫を計上することによって、売上原価を過少に計上しました。

(2)販売見込みのない在庫の評価損未計上による売上原価の過少計上

 当社は、販売見込みのない在庫について、販売見込みがあると偽りの評価を行い、評価損を計上しなかったことにより、売上原価を過少に計上しました。

(3)収益の認識基準を満たしていない売上の計上

 収益の認識基準では、「物品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値を企業が買手に移転したこと」を満たさなければ収益を認識することができないため、当社に買戻義務がある製品については売上を計上することはできないにもかかわらず、当社は、当該製品について売上を計上したことにより、売上を過大に計上しました。

(4)固定資産の過大計上

 当社は、固定資産と関係のない支出について、発生時に費用として計上すべきところ、固定資産として計上し、固定資産の減価償却を行うことにより、費用計上を繰り延べました。」

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