企業会計基準委員会は、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」の改正を、2008年9月26日付で公表しました。
この改正では、後入先出法の廃止を定めています。具体的には「棚卸資産の評価方法」という表題で規定が新設されました(6-2項)。個別法、先入先出法、平均原価法、売価還元法の4つしか認めないので、自動的に後入先出法は排除されます。
後入先出法を認めない理由については、「結論の背景」に書かれています(34-5項~34-12項)。他の方法と同様に有用性があり、引き続き認めるべきという意見はあるが、会計基準の国際的なコンバージェンスを図るため削除したとされています。
適用は、2010年(平成22年)4月1日以後開始する事業年度からです(21-2項)。早期適用も可能です。変更の影響額は売上原価に含める方法だけでなく特別損益処理も認められています(21-3項)。
注記または特別損益処理される変更影響額の算定はやや特殊な方法をとっています。変更後の方法で棚卸資産の期首残高を厳密に算定することが難しいためだと思いますが、期首時点の保有損益を影響額とすることを認めています(21-2項・21-3項)。
基準改正とは直接的な関係はありませんが、ASBJのプレスリリースには、税務との関係に関する以下のような(蛇足的な?)コメントが記載されています。
「改正会計基準の検討過程では、IFRS を採用した多くの国において、課税所得計算上、後入先出法の適用が引き続き認められているなど、後入先出法を採用してきた企業に重大な税負担が一時に生じない対応が図られていることを踏まえ、我が国においても、従来から後入先出法を採用してきた企業に対して適切な配慮がなされることが必要であるとする意見が多くありました。」
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