国が敗訴した大和都市管財訴訟の判決要旨です。
「近畿財務局長は3年に1度の更新登録で財務状況を検査し、監督規制権限を行使して、大和都市管財が更新登録拒否事由に該当していないか審査すべき注意義務を負っている。
にもかかわらず、近畿財務局は97年検査で帳簿類の検査を放棄し、預貯金口座の検証すら怠るなど、グループ全体の財務状況及び資金の流れを解明するための基本というべき検査を怠った。
近畿財務局次長は警察の強制捜査が近いとの情報を得たこともあり、更新登録前に大和都市管財の破たん処理に入ることを考え、業務改善命令を準備した。
ところが、業務改善命令の発出は局長の介入で約50日も遅らされ、内容も後退させられた。大和都市管財が97年経営健全化計画を提出するや、近畿財務局は受理。融資の架空性や抵当証券受取利息の未収受の認定も回避し、漫然と更新登録をした。監督規制権限の恣意的不行使ともいえ、その過程は不可解というしかなく、裁量逸脱の程度は著しいというほかない。」
トップ自ら介入して十分な措置を意図的にとらせなかったわけですから、これが監査法人ならたちまち業務停止処分でしょう。架空融資を計上してもよいなどという会計基準は97年当時でもあり得ません。
ところで、こういう判例を見ると、最近の裁判所は不正を行った当事者だけでなく、不正をチェックする立場の者に対しても厳しい判断をする傾向にあるようです。監査法人にとっても人ごとではありません。
ライブドア事件 被告の会計士、二審も有罪判決
ライブドア事件のこの会計士は当時、監査責任者ではありませんでしたが「不正な会計処理を容認する態度を示し、後任に影響力を行使した」ということで有罪になっています。
大和都市管財事件
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