上場企業の間で土壌汚染の改善など環境対策にかかる将来の支出を、引当金として貸借対照表に計上する動きが広がっているという記事。日経新聞は「環境負債」と呼んでいますが、これは日経新聞の造語であり、会計基準的には「資産除去債務」です(厳密にはそうではないものも含まれていますが)。
もちろん「資産除去債務に関する会計基準」はまだ適用されていないので、現在計上されている同目的の引当金(計上方法も異なる)をどのように呼んでも自由なわけですが、紛らわしい言葉です。「環境負債」と呼んだ方が深い意味がありそうにきこえてマスコミ的にはよいのでしょう。
日経の9月8日朝刊の記事では、PCBの無害化費用(JR西日本など)や研究過程で発生する放射性廃棄物の処理費(三菱マテリアル)が例として具体的に挙げられています。「資産除去債務に関する会計基準」の対象である固定資産の除却の際に要するコスト以外のものも含まれているのかもしれません。
このほか、原子力発電の廃炉費用などは、現行基準でも引当金として挙がっているはずです。
「資産除去債務に関する会計基準」では、除去コスト全額(ただし割引後)を固定資産の取得原価に上乗せして、負債と資産に両建てで計上することになっているので、基準導入後は相当の金額になるでしょう(現行の引当金方式だと徐々に負債を増やしていくやり方なので)。
当サイトの関連記事
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事