5月28日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の模様を伝える記事。IFRS任意適用の要件を大幅に緩和する方針のようです。
「金融庁は5月28日、IFRS(国際財務報告基準、国際会計基準)を任意適用するための企業の要件を大幅に緩和し、最大で全ての上場企業が任意適用をできるようにする方針を示した。同日、開催された金融庁の企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議でも大きな異論はなく、次回の会議で報告書案にまとめられる予定だ。」
「金融庁の試算によると有価証券報告書の提出企業は4061社。そのうち、上場企業は3550社だ。外国に連結子会社(資本金20億円以上)を持つのは621社で、2929社は資本金20億円以上の連結子会社を海外に持たない。仮にこの要件が緩和されれば、最大で新たに2929社のIFRS任意適用が可能になる計算だ。また、現行の任意適用要件は上場企業が対象だが、要件を緩和し、上場準備中の企業も対象にすると、さらに任意適用が可能な企業数は増える。」
「・・・自社の都合でIFRSから日本基準に戻すことについては、「わが国における基本的な会計の考え方(企業会計原則)を踏まえれば、IFRSの任意適用を選択した企業は合理的な理由なく日本基準などへ変更することはできない」(金融庁)としていて、認めない方針だ。」
海外基準(米国基準やIFRS)から日本基準に戻したという例はほとんどないと思いますが、かつてNECが米国基準の財務諸表に監査人の無限定適正意見がもらえなくて、日本基準にあわてて戻したということがあったと思います。現行の日本基準では、過年度遡及会計基準が適用されるので、簡単に前期はIFRS、当期は日本基準という変更はできない(前期も日本基準に作り替えなければならない)ので、ことさら制限しなくても、日本基準に戻そうという会社はまれでしょう。むしろ、法令で縛るなどして絶対に後戻りできないということになると、かえってIFRS任意適用に躊躇するかもしれません。
J-IFRSという考え方も出てきたそうです。
「合同会議では日本企業が受け入れ可能で、日本が考えるIFRSの「あるべき姿」を示すことができるとして基準内容の一部を除外・修正(カーブアウト)するIFRS(合同会議では「エンドースメントIFRS」「J-IFRS」などと呼ばれた)を創設する案も金融庁から出された。」
これは反対論が強かったようです。
そのほか単体開示の簡素化も論点に挙がったそうです。
国際会計基準「任意適用」を緩和 金融庁審議会が素案(産経)
「金融庁は28日、企業会計審議会を開き、国際会計基準(IFRS)導入に向けた報告書の素案を示した。上場企業に対するIFRSの強制適用は当面見送る一方、企業に利用判断を委ねる「任意適用」の対象を緩和することが柱。7月をめどに最終的な報告書をまとめるが、最短で平成27年3月期から行われる予定の強制適用は先送りとなった。」
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