取り上げるのが遅れてしまいましたが、あらた監査法人のサイトに、IFRSに基づいてまとめられた「東北地方太平洋沖地震による会計上の影響」という資料が掲載されています。
日本基準に基づく扱いと重なる部分もありますが、例えば、引当金については扱いが異なるようです。
「IAS 37 号「引当金、偶発負債及び偶発資産」は、企業が現在の債務を有し、債務の決済のために資源の流出が必要とされる可能性が高く、信頼性のある見積が可能である場合にのみ引当金を認識することを求めています。我々は、影響を受けた多くの企業が事業に対する損害を適切に評価し、修復するには数か月ではないとしても数週間かかるだろうと予想しています
IAS37 号は将来の営業費用あるいは将来の営業回復費用に関する引当金の計上を認めていません。損害修復および資産整理に要する費用は、発生するまでは現在の債務ではないため、その発生前に引当計上すべきではありません。
これに対し、経営者は、将来に発生すると予想される整理費用の最善の見積りを開示することができます。」
修復が必要ということは、資産に何らかの減損が生じているわけですから、将来生ずる修繕費の引当ではなく、資産の減損(評価減)処理をするというのが原則なのでしょう。
しかし、被災してごみになったような資産などを撤去したりするのは、法律上はともかく、資産を保有する(あるいは預かっている)企業の義務でしょうから、現在の債務があるともいえます。そう考えると撤去費用などは引当てが必要にも思えます。
(補足)
完全に一致しているかどうかは未確認ですが、英文もありました。
Accounting implications of natural disasters (pwc)
引当金の項目には以下のような文章もありますが、翻訳には入っていないようです。発行日が異なるので追加部分なのかもしれません。
Management should assess whether the disaster has resulted in additional obligations, such as environmental or legal liabilities. For example, entities might be liable for environmental remediation costs if the disaster caused a release of toxic matter into the environment.
まさに東電原発事故のようなケースに当てはまります。放射性物質というtoxic matterが放出(release)されている状態です。
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