英国で、気候変動の影響に関する情報開示が、企業に義務付けられるという記事。
「英国のスナク財務相は9日、気候変動が財務や事業に与える影響に関する情報の開示を、企業に義務付けると表明した。2025年までの完全実施をめざす。」
「気候変動情報の開示義務化は、国際的な枠組みである「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に沿って制度を整える。地球温暖化が財務に与える影響、リスク管理や企業統治の状況などについて、詳しい分析と公表を企業に求めていく。
第1弾として英金融行為監督機構(FCA)は21年1月から、ロンドン証券取引所にプレミアム区分で上場する主要企業を対象に、TCFDに準拠した開示を義務付けるルールを施行する。
英政府・金融当局は23年までに、開示対象を英に拠点を持つ非上場の大企業などにも広げる考えだ。25年までには「英経済全体で完全義務化する」としており、詳細は今後詰める。」
非上場会社にも広げるという点が興味深いと思いました。投資判断のための情報であれば、上場会社に限ってもよいのでしょうが、社会へのインパクトを開示させるということであれば、上場会社も非上場会社も違いはないはずです。
英、初の環境債を来年発行へ 企業に気候変動の影響開示義務付け(ロイター)
「スナク英財務相は9日、英政府として初のグリーンボンド(環境債)を2021年に発行すると発表した。政府は、気候変動が財務に与える影響に関する情報の開示を2025年から大企業に義務付けることも決定した。
グリーンボンド市場は近年、急速に成長し、昨年の発行額は世界全体で約2500億ドルと、世界の債券発行額の3.5%を占めた。ただ、英債務管理庁(DMO)はグリーンボンド発行に慎重な姿勢を示してきた。」
「スナク氏は気候変動による企業財務への影響の開示義務付けについて、英国は20カ国・地域(G20)の金融規制当局で構成する金融安定理事会(FSB)の気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に従う最初のG20メンバーになると述べた。」
大臣が発言したというだけでなく、正式な報告書やロードマップが公表されています。
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UK joint regulator and government TCFD Taskforce: Interim Report and Roadmap(英国財務省)
上場会社
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/37/51f8b074802aeeeb603c6730f0bac4e8.png)
大規模非上場会社
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/10/f3f105ea5d7e3150e701922550a3ef15.png)
銀行など
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/4f/2c046607fc972d12d4c0bb5cbfcfebce.png)
以前から検討されていたようです。
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TCFDを巡る英国の動向~英国のグリーンファイナンス戦略、金融規制当局の動向を鳥瞰する~(2019年12月)(KPMG)
TCFDについて。
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TCFD提言の活用はどれほど進んだか
気候関連財務情報開示の現状と今後の課題(大和総研)
「TCFDが最終報告書において示した提言は、あくまで自主的な情報開示の枠組みであるものの、今や気候変動に関連する情報開示の標準になりつつある。特に、日本からの賛同機関数は2020年9月現在、世界最多であるとともに、開示の質も年々充実してきており、開示情報は投資家とのエンゲージメントなどにおいて活用が進んでいる。」