英金融大手HSBCが富裕層顧客の巨額の脱税をほう助していたことを示す機密文書がインターネット上で公開され、世界中で問題になっているという記事。
「通称「スイスリークス(SwissLeaks)事件」と呼ばれるこのスキャンダルで暴露された極秘ファイルには、著名人や武器商人とみられる人物、政治家などの名前も含まれている。ただリストに名前が載っているからといって必ずしも不正行為に関与したとは限らない。
公開された文書によると、HSBCのスイス部門が200か国以上の顧客の脱税をほう助したとされる。それらの顧客の口座残高の総額は1190億ドル(約14兆円)に上るという。
欧州最大の銀行であるHSBCでIT担当だったエルベ・ファルチアニ(Herve Falciani)元社員が2007年に多数のファイルを盗み出し、フランス当局に提出していた。このファイルが一般公開されたのは今回が初めて。
国際調査報道ジャーナリスト連合(International Consortium of Investigative Journalists、ICIJ)はこれらのファイルを仏紙ルモンド(Le Monde)経由で入手し、世界中の45社を超えるメディアに提供した。
ICIJによると、HSBCが国際的な犯罪者らや実業家、政治家、著名人らにスイス口座を開設させていたことがこの文書から分かるとしている。」
国際調査報道ジャーナリスト連合のサイトより
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SWISS LEAKS LIFTS THE VEIL ON A SECRETIVE BANKING SYSTEM(ICIJ)
英国のBBCも大きく取り上げています。HSBCの元経営者(リーク後に大臣に任命)に対する突撃インタビューの動画もあります(このあたりは日本のテレビと変わりません)。
HSBC bank 'helped clients dodge millions in tax'(BBC)
英国の税務当局は、リークされたデータを2010年に受け取っていながら、脱税摘発は1件だけだったといって批判されています。
HM Revenue and Customs (HMRC) was given the leaked data in 2010 and has identified 1,100 people from the list of 7,000 British clients who had not paid their taxes. But almost five years later, only one tax evader has been prosecuted.
HMRC said £135m in tax, interest and penalties have now been paid by those who hid their assets in Switzerland.
HMRC grilled over HSBC avoidance(economia)
こちらがデータを持ち出した人物。最初はカネ目当てだったようです。
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「スイスリークス」告発者、スパイ小説並みの展開(AFP)
「ファルチアニ容疑者は1990年代にモナコのカジノで働き始めた。2000年にHSBCのIT担当となったが、人生の大きな転機は06年、スイス・ジュネーブ(Geneva)のオフィスへの異動だった。今や「脱税のスノーデン」「富裕層を震撼させる男」などとあだ名されるファルチアニ容疑者はここで、暗号化された顧客情報の巨大なデータベースへのアクセスを獲得した。
07年には12万人を超える顧客のリストを揃え、08年頃にはこのデータを売却する計画とともに、愛人を連れ、レバノンへ向かった。スイス当局はこれを「キャッシュ・イン(現金化)」のため、と表現している。しかし、疑わしく思ったレバノンの銀行家たちは、出所の怪しい顧客リストの購入に関心を示さなかった。そればかりか、そのうちの少なくとも1人がファルチアニ容疑者の行動について、スイスの銀行家たちに警告した。」
「最近ではファルチアニ容疑者は、フランスの税務当局に科学的な専門知識を提供し、3500ユーロ(約47万円)の月額報酬を手にしている。給与を支払っているのは、ここ数年、彼が研究員として籍を置いているフランス国立情報学自動制御研究所(INRIA)だ。」
Leaked Files Show HSBC Helped Clients With Tax Dodges(CFO)
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