第10回公認会計士制度に関する懇談会が、1月21日に開催されました。金融庁のサイトで公表された資料によると、公認会計士試験・資格制度見直し案の説明がなされたようです。
注目されている財務会計士については、以下のような案が示されています。
「企業財務会計士」の創設
○ 業務内容:
1) 財務書類の調製、財務に関する調査・立案・相談
2) 監査業務の補助
○ 資格要件:論文式試験の合格及び一定の実務・教育経験2年以上
(注)一定の実務・教育経験には、公認会計士の資格要件として認められる実務経験のほか、以下を含むこととする。
1) 例えば、資本金1億円以上の企業等における会計実務
2) 一定の会計専門職大学院の修了
○ 登録:日本公認会計士協会が登録を実施
○ 義務:継続的専門研修(CPE)、信用失墜行為の禁止、守秘義務 等
○ 責任:登録抹消、業務停止等
一定の実務・教育経験が要求されるので、就職難民の人たちには役に立たない制度です。ただし、会計専門職大学院の終了でもよいので、その在学者、修了者には有利です。
試験制度については、それほど大きな改正ではないようです。短答式試験の合格・論文式試験の科目合格の有効期間の見直し(ただし実務従事者は優遇)、短答式試験を年1回とすることなどが提案されています。
公認会計士の資格要件については、学歴要件の追加、実務経験の要経験年数を3年以上に変更といった要件強化の一方で、実務経験となる業務の追加、一定の会計専門職大学院の修了者は、その修業年限の2分の1(1年を上限)を実務経験年数に算入できることとするなどの緩和策もとられています。。
そのほか、実務補習の見直し(監査・税実務の重点化、e-ラーニングの拡大等)について検討するとされています。
また、制度の見直しではありませんが、合格者数について、以下のようにほぼ現状維持または若干の絞り込みという方針を示しています(「平成23年以降の合格者数のあり方について」より)。
「公認会計士試験については、公認会計士・監査審査会において運用されているところであるが、合格者等の活動領域の拡大が依然として進んでいないことに加え、監査法人による採用が低迷していることに鑑み、平成23年以降、当面の合格者数については、金融庁としては、1千5百人程度から2千人程度を目安として運用されることが望ましいものと考える。」
「企業財務会計士」が2013年試験から開始、受験生の生活設計に影響も(@IT)
こちらの記事によると、金融庁は「通常国会への法案提出を目指していて、成立した場合、2013年(平成25年)試験から適用する」そうです。また、「待機合格者数や監査法人の経営状況を考えると、2011年は1500人程度が適当との考え」だそうです。
合格者を4分の1圧縮 「企業財務会計士」も創設(産経)
「企業財務会計士」新設へ(NHK)(動画付き)
NHKの報道では、新制度の理由を「企業会計の専門家を求める企業が増えていることから」といっています。就職難についてはまったくふれていません。
(そういえばその昔、「大蔵省証券局企業財務課」という役所がありました。「企業財務会計士」というのも結構由緒正しい名称なのかもしれません。)
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