品質偽装などの不祥事が発生したのに「第三者委員会」すら設置しない企業があることを批判した「第三者委員会報告書格付け委員会」の声明を取り上げた記事。
「日産自動車とSUBARUが委員会を設置していないことや、東レが設置した有識者委員会が調査を自ら行っていないことをやり玉に挙げ、社外取締役のリーダーシップによって第三者委員会を設置するよう求めている。」
「格付け委員会は第三者委員会がまとめた報告書を検証するのが役割だが、そもそも第三者委員会の設置自体を企業経営者が意図的に避けていたのでは話にならない、というわけだ。
経営者が「第三者委員会」を設置しないのは、プリンシプルが上場会社に求めている「必要十分な調査により事実関係や原因を解明し、その結果をもとに再発防止を図ることを通じて、自浄作用を発揮する」という点や、「速やかにステークホルダーからの信頼回復を図りつつ、確かな企業価値の再生に資する」という点に明らかに反しているとした。」(プリンシプル:日本取引所自主規制法人「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」)
「さらに、不祥事企業の経営者が第三者委員会の設置をためらう事について、「経営者がその経営責任(及び法的責任)を問われる場面であり、安易で不十分な調査により事案を矮小化して難局を切り抜けたいという動機が働」いている点を指摘。「経営者と会社との間に利益相反が生じる」としている。」
他方、声明では、第三者委員会の悪い例として東芝を挙げているそうです。
東芝といえば、前にも書いたとおり、あらた監査法人から監査報告書で巨額粉飾を指摘されている件についても、本来は、第三者委員会か信頼できる会計事務所(ビッグ4クラス)に依頼して、徹底的に調べさせるべきでしょう。それをやらないというのは、まさに「安易で不十分な調査により事案を矮小化して難局を切り抜けたいという動機」からでしょう。
この記事ではふれていませんが、大きな会計不正で第三者委員会を設けなかった例としては、(私の記憶によれば)オービックがあります。
「声明」を発出しました(第三者委員会報告書格付け委員会)
「東芝が 2015 年 5 月に設置した第三者委員会が、子会社ウエスチングハウス社ののれんの減損問題を調査対象から外したことが、同年 12 月の同子会社による旧 CB&I ストーン&ウェブスターの買収につながり、その後の経営危機を招いたという見立ては、企業社会の共通認識になりつつある。」
格付け委員会に加わっている八田教授の新しい本。
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会計。道草・寄り道・回り道 八田 進二 泉文堂 2018-02-01 by G-Tools |
「会計社会での活躍を望む皆さんへの心からのメッセージ。会計や監査の研究、教育そして実務を取り巻くいろいろな思いを、これまで発表したコラムを中心に、会計および監査に携わる優秀な人材の輩出を願って、まとめた一冊。」
別のWEB書店。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784793006180