会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ダンスケ銀行、米司法省にマネロン有罪認め20億ドル支払い(ロイターより)

ダンスケ銀行、米司法省にマネロン有罪認め20億ドル支払い

デンマーク金融大手ダンスケ銀行が、マネロン疑惑で米当局と罰金20億ドルの支払いに合意したという記事。そのほか、4億ドル超をSECに支払うそうです。

「ダンスケ銀行は2008年から16年にかけて現在閉鎖したエストニアの支店を通じ、ロシアなどにいるリスクの高い顧客らに資金洗浄を事実上持ちかけ、資金計約2000億ユーロ(2120億ドル)を不正に米金融システムにアクセスできるようにしたとして、各地の当局が長く捜査を続けてきた。米司法省は同行が少なくとも途中から違法性を認識していたと断定。この件で米連邦政府が同行と刑事措置の正式合意に至ったのは初めて。」

「米司法省の捜査とは別に、同行は米証券取引委員会(SEC)が進めていた民事調査についても和解に達し、民事制裁金と不正利得返還として4億1300万ドルをSECに支払うことにも同意した。」

米司法省のプレスリリース。

Danske Bank Pleads Guilty to Fraud on U.S. Banks in Multi-Billion Dollar Scheme to Access the U.S. Financial System
Largest Bank in Denmark Agrees to Forfeit $2 Billion

不正な取引を処理していたのはエストニアの支店です。資金の本当の所有者を、ペーパーカンパニーを使ってごまかしたりして、非居住者である顧客(NRP)の便宜を図っていました。エストニア支店は、NRPのために、1600億ドルを米国の銀行を通じて処理していました。銀行本体も、2014年までには、NRP顧客の一部が、非常にあやしい、犯罪にかかわっている可能性のある取引に従事していることや、エストニア支店のマネロン対策プログラムなどが基準に合致しておらず、リスクに対応していないことを知っていました。しかし、そうしたことを、米国の銀行には知らせず、虚偽の情報を与えていました。

According to admissions and court documents, between 2008 and 2016, Danske Bank offered banking services through its branch in Estonia, Danske Bank Estonia. Danske Bank Estonia had a lucrative business line serving non-resident customers known as the NRP. Danske Bank Estonia attracted NRP customers by ensuring that they could transfer large amounts of money through Danske Bank Estonia with little, if any, oversight. Danske Bank Estonia employees conspired with NRP customers to shield the true nature of their transactions, including by using shell companies that obscured actual ownership of the funds. Access to the U.S. financial system via the U.S. banks was critical to Danske Bank and its NRP customers, who relied on access to U.S. banks to process U.S. dollar transactions. Danske Bank Estonia processed $160 billion through U.S. banks on behalf of the NRP.

U.S. banks required Danske Bank and Danske Bank Estonia to provide information to open and maintain accounts, including information related to anti-money laundering (AML) controls, transaction monitoring, and customers. Danske Bank knew that the U.S. banks expected honest, complete, and accurate responses and that the U.S. banks would not maintain, or open, U.S. dollar accounts for Danske Bank Estonia without the required information. 

By at least February 2014, as a result of internal audits, information from regulators, and an internal whistleblower, Danske Bank knew that some NRP customers were engaged in highly suspicious and potentially criminal transactions, including transactions through U.S. banks. Danske Bank also knew that Danske Bank Estonia’s anti-money laundering program and procedures did not meet Danske Bank’s standards and were not appropriate to meet the risks associated with the NRP. Instead of providing the U.S. banks with truthful information, Danske Bank lied about the state of Danske Bank Estonia’s AML compliance program, transaction monitoring capabilities, and information regarding Danske Bank Estonia’s customers and their risk profile.

こちらは最近発覚した欧州議会の副議長がワールドカップ汚職スキャンダルで逮捕された事件の背景を解説した記事。

「規則は自分たち以外に適用される」...カタールW杯めぐる疑惑で見えてきたEUの深すぎる闇(Newsweek日本版)

「サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催国カタールに絡む汚職スキャンダルで、ベルギーの捜査当局は欧州連合(EU)欧州議会のエヴァ・カイリ副議長(44)=ギリシャ選出=と父親、夫フランチェスコ・ジョルジ氏ら数人を逮捕、このうちカイリ氏ら4人を起訴した。欧州議会のロベルタ・メッツォーラ議長は腐敗議員に「免罪符はない」と述べた。

事件の詳細はまだ明らかにされていないが、捜査当局は汚職、マネーロンダリング(資金洗浄)、犯罪組織への加担に関して「大掛かりな捜査」を進めている。カイリ氏は欧州議会で湾岸諸国に関して積極的に演説したり、「カタールは中東における労働改革の先頭ランナー」と称賛したりしていた。」

「深刻な人権侵害に対する責任追及と国際司法を促進するために設立された国際NGO(非政府組織)「ファイト・イムピューニティ(刑事免責)」の会長を務めるアントニオ・パンツェリ元欧州議会議員=イタリア選出=も逮捕された。パンツェリ氏の自宅から現金約60万ユーロ(約8640万円)が押収された。NGOが金銭の受け皿になっていたとみられる。」

「カイリ氏の父親宅、カイリ氏と夫が共同で保有するアパートからも約15万ユーロ(約2160万円)、ホテルの部屋からスーツケースに入れられた数十万ユーロなど計約90万ユーロ(約1億3000万円)が見つかったとされる。」

欧州議会議員は、外交特権がある一方で、議員活動に対する監視は甘く、「腐敗の温床」なのだそうです。

スポーツイベント関連では、日本の五輪汚職もひどいと思いますが、これもひどい事件です。

企業開示の分野でも、欧州はサステナ開示が進んでいるから、参考にすべきとか、逆に四半期は任意だから、日本も任意にすべきとかいう話がありますが、欧州も中立的な議論だけでルールが決まっているわけではなく、わいろまでいかなくても、ロビー活動の結果で決まっている面もあるのでしょうから、鵜呑みにすべきではないのでしょう。

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