財務諸表監査などに関連する公表物の体系・起草方針「論点の整理」に対するコメント(日本公認会計士協会)
2022-02-24
日本公認会計士協会は、「財務諸表の監査及びレビュー業務、保証業務並びに合意された手続業務に関連する公表物の体系及び起草方針に関する論点の整理」に対するコメントの概要及び対応を、2022年2月24日に公表しました。
昨年11月に公表された同論点整理に寄せられた主なコメントの概要とその対応(協会の考え方及び対応方針)を示したものです。
コメントの中で興味深いものを拾うと...
「我が国に監査基準が設定された昭和 31 年(1956 年)から見ますと 65 年経過しており、経済がグローバルに展開されている状況のもとで、監査や保証業務が国際的に統一化される中で、より根本的な見直しが必要だと思います。そのためには、JICPA だけではなく金融庁とりわけ企業会計審議会のあり方やその公表物も含めた見直しが必要だと思います。」
「今回の論点整理で欠落している重要な点は、Framework for Assurance Engagements (保証業務の概念的枠組み)であり、これが金融庁所管でありかつ IAASB の動きに 10 数年遅れ、2 周遅れになっていることが基本的な問題だと思います。
・IAASB で 2013 年に更新された Framework は、実質には監査・保証実務委員会研究報告第 31 号という形で公表されています。しかし、表題は「監査及びレビュー業務以外の保証業務に係る概念的枠組み」と不思議な名称をつけています。
・保証業務の概念的枠組みは、保証業務及び非保証業務の基準の上位に位置するものであり、監査及びレビュー以外の保証業務の概念的枠組みというものはそもそも存在しないと思われます。
・International Framework に合わせた更新を金融庁に求めるのが正道であり、金融庁がその気にならないのであれば JICPA として「概念的枠組み」として発表する位の意気込みがあってよいと思います。」
「ISA を基礎としつつも、日本固有の実務指針を公表することに対して、法令の要求等によって必要な場合を除き、日本固有の実務指針を公表すべきでないと考えます。」
「特に、グループ監査チームが海外の構成単位の監査人に監査を依頼する際に、日本基準独自の要求事項として、追加的な対応を依頼する必要が生じるものについては、海外の構成単位の監査チームの負担が多大となる可能性を鑑み、可能な限りその数を限定的なものとし、やむを得ず公表する場合であっても、デュー・プロセスの期間を長めに取ることや、必要に応じて実務指針及びその公開草案の英訳を公表するなどの対応を検討すべきであると考えます。」
監査基準設定主体としての企業会計審議会はもう廃止して、会計士協会に任せるか、会計基準と同様に独立した民間組織を作って、そこにやってもらうのがよいのでは。
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