会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

米紙「日本政府は損切りし、IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」(クーリエより)

米紙「日本政府は損切りし、IOCには『略奪するつもりならよそでやれ』と言うべきだ」

IOC会長は「ぼったくり男爵」だ、東京オリンピックは中止すべきという米「ワシントン・ポスト」の記事の全訳です。

「ぼったくり男爵」といっている部分。

「フォン・ボッタクリ男爵、別名トーマス・バッハIOC会長とそのお供の者たちには悪癖がある。それは自分たちをもてなすホストに大散財をさせることだ。まるで王族が地方にお出ましになったとき、そこの小麦が食べ尽くされ、あとに残るのが刈り株だけになるときのような話だ。

日本国民の72%が、このパンデミックの真っ只中に国外から1万5000人のアスリートや五輪関係者をもてなすのは嫌であり、乗り気になれないと言っているのだ。それなのに五輪マスト・ゴー・オンと横柄に言い張れるIOCの神経はいったいどうなっているのか。」

ただIOCの悪口を言っているだけでなく、オリンピックは、巨額予算オーバーの傾向にあることを研究を元に述べています。

「オリンピックは前々から深刻な病弊を抱えており、いまの東京の窮状も、その病弊の表れと言っていい。五輪は、関係者全員を痛みと疲労の極限まで追い込むイベントと化しており、そんな条件で五輪を開催したがる国は減る一方だ。

強欲と法外なコストのせいで、五輪は開催国にとって重大災害と同じくらいの負担を強いられるイベントになっているのだ。2020年9月に出たオックスフォード大学のビジネススクールの論文によると、IOCは五輪開催のリスクとコストについて「間違った印象を与える」説明を一貫して繰り返してきたという。

具体例を挙げよう。IOCによれば、不測の事態に備えて約9.1%の予算超過を事前に想定しておけば充分なのだという。

では、実際の夏季五輪の平均予算超過率はどれくらいなのか。答えは213%である。」

「IOCが過剰を奨励するのは意図的だ。凝りに凝った施設やイベントを義務付けるのは収入のためだ。その収入の多くがIOCに入り、コストのほうは丸ごと開催国にダンピングされる。資金繰りも開催国がすべてを担う。

IOCは大会のサイズとデザインの水準を設定し、開催国に、どんどん向こう見ずに大金を投じるように求める。その一方でライセンスの利益や放映権料はしっかり握って手放さない東京五輪の当初予算は70億ドルだった。いまはその4倍だ。

前述のオックスフォード大学の論文『テール(すそ)への回帰──オリンピックの費用が法外に膨らむ理由』で著者のベント・フリウビヤ、アレクサンダー・ビュジエル、ダニエル・ランの3人が指摘しているのは、コストが法外に膨らむという点では、五輪が地球上のどの国家的建設プロジェクトと比べても断トツだということだ。巨大ダムやトンネルの掘削も上回る。

五輪は複雑さも経費も膨れ上がる一方であり、計画期間も長期に及ぶ(7~11年)。そのため、インフレやテロの脅威、「丸々と太った巨大ブラックスワンの飛来に見舞われるリスク」などの影響も被りかねない不確実性が多いプロジェクトなのだ。」

日本は、まんまとだまされてしまったということなのでしょう。

東京が仮にオリンピックの開催都市契約を破棄したとしても...

「ここで仮に日本が契約を破ったと想定してみよう。

そのときIOCは何をするのだろうか。訴訟を起こすのだろうか。しかし、そのときはどの裁判所に訴えるのか。そもそもこれはどの裁判所の管轄なのか。パンデミックのストレスと苦しみにあえぐ国で五輪を断行しようとしているのだ。そんな訴訟を起こしたとき、IOCの評判はどうなるのだろうか。

日本の指導者たちは、自分たちが思っているよりも状況を動かせる力を持っているのだ。」

「IOCはインチキ公国だ。気取って壮大絢爛を売り歩く者たちのための腐敗しがちな金銭の受け皿だ。

そのことを思い返すのに相応しい時と場所があるとすれば、それはいましかない。IOCに本当の権力はなく、あるのは参加各国から一時的に託された権力のみだ。

日本はIOCに何の借りもない。中止は痛みをともなうだろう。だが、それは幣風の一掃にもなるのである。」

記事の中で紹介されている論文へのリンク
https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0308518X20958724
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