エフオーアイの粉飾事件を取り上げた記事。上場の際の審査を問題にしています。
「非上場企業が上場する際は、監査法人か複数の公認会計士の審査を受ける。並行し、上場の際に主幹事を務める証券会社のチェックも入る。売上高などを記載した財務諸表、取引先などを記載した有価証券届け出書に虚偽がないか、経営管理体制はどうか、暴力団とのつながりがないかなど、細かく調べられる。最後に、東証が同様の基準で審査し、3重のチェックが完了する。
エフ社は複数の公認会計士がチェックしたが、大手証券関係者は「監査法人に依頼する企業がほとんど。個人に頼むのはまれで警戒すべき事案」と話す。一方、別の市場関係者は「今回は会計士がだまされた」と指摘する。」
3重のチェックといっていますが、会社は、上場前に有価証券届出書を財務局に提出し、財務局はそれを審査のうえ、受理することになっています。つまり、3重ではなく4重のチェックのはずです(毎日が財務局の審査のことにふれなかったのは何か意図があるのでしょうか)。
(参考-金融商品取引法第10条1項より)
「第十条 内閣総理大臣は、有価証券届出書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、又は記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な重要な事実の記載が欠けていることを発見したときは、いつでも、届出者に対し、訂正届出書の提出を命じ、必要があると認めるときは、第四条第一項から第三項までの規定による届出の効力の停止を命ずることができる。・・・」
もちろん、粉飾を発見する責任を第一に負っているのは、監査人であることに間違いはありません。どうして監査人が発見できなかったのかという点に関連して、毎日の記事では、会社側の隠ぺい工作にふれています。
「実際、エフ社は取引先を確認しようとした会計士に対し、海外で偽の取引先を紹介していたとされる。エフ社はこうした偽の取引先を複数使い、架空の仕入れ先に代金を振り込み、別の架空の売却先から受注したように装って売買契約書を偽造、代金を還流させる形で入金させ、架空の売上高を計上していた疑いが持たれている。
ある大手監査法人の会計士は「会社ぐるみで粉飾し、取引先とも結託していれば見抜くのは困難」と言う。一方で「売上代金が取引先から2年後に納められることになっているうえ、製品が半導体業界であまり出回っていないなど不審点も多く、不正を見抜けないのは甘い」(市場関係者)との指摘もある。」
多額の売掛金が滞留しているので、おそらく、分析的手続をやっておかしいと気づいてはいたのでしょう。当然、取引を精査することになりますが、契約書が偽造され、また、カネの流れ(架空の原価の支払い→売掛金の回収)もあったということだと、認めてしまう可能性はあります(輸出取引のようですから、船積や通関関係の書類もみるのでしょうが、それらも偽造されていたのでしょうか)。
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