オリンパスが英医療機器メーカー、ジャイラスを買収した際に計上したのれんが最初から過大だったのではないかと指摘する記事。買収直後にオリンパス社内でやり取りされたというメールを示しています。
「ここに筆者が最近入手した、1通のメールのコピーがある。オリンパス本社の経営企画部や医療機器部門の経営企画担当者ら部長クラスの間で交わされたもので、日付は2008年4月28日。英医療機器メーカー、ジャイラスを買収した直後のものだ。ジャイラス買収にかかった2100億円の費用を回収するのに、どれだけの年月が必要かを投資家に説明するIR資料作成を相談する内容となっている。
この資料によると、ジャイラスを2100億円も出して買収する価値があることを投資家に説明することが、いかに難しいかがうかがえる。一部を抜粋してみよう。
「買収価格&買収手数料を利益で回収しようとした場合、回収には20年以上かかる(20年目でまだ500億円近く未回収部分が残る)」
「その理由は、全体の約70%を占めるRevenue Synergyが買収後急速に立ち上がるのではなく、45°右肩上がりで成長し後半に大きく育つという形のため、現在価値に直すと非常に厳しい(=価値が高くない)」
メールに書かれているように、未回収部分として500億円近くが残ってしまうのなら、やはり2100億円は過大な支出であることの証拠であろう。そして買収当時から、オリンパス社内でも買収価格が高過ぎるという認識がすでにあったことも示している。
買収金額が高過ぎるのなら、当然のれん代の額も過大に計上されているはずだ。しかし、問題が発覚してから修正した後の貸借対照表をみると、のれん代の額はわずかに減った程度で、ほとんど手つかずとなっているようだ。すでに連結自己資本が428億円しかなくなったオリンパスにとって、のれん代を思い切って償却すれば債務超過に転落する恐れが生じ、上場維持できるかどうかの問題に直結してしまうからだ。」
損失解消スキームに利用された架空アドバイザリー報酬の部分は別として、買収価格が高かったとしても、それが正当な株主に支払われたものであれば、不正とはいえないでしょう。しかし、隠蔽していた損失の解消という裏の目的のために是が非でも取引を成立させなければならないと考えていたとすれば、買収価格が結果として過大だったおそれはあります。
今後の決算では、のれんの減損について、厳しいチェックがなされることでしょう。
ソニーを軸に最終調整!オリンパス業務提携先めぐる交渉で週内にも記者会見(ダイヤモンドオンライン)
オリンパスが資本を受け入れる場合には、徹底的に資産内容の見直しが行われるはずです。監査人も当期の決算で、のれんについて厳しくテストせざるを得ないのでは・・・。
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