地銀に迫る「正常債権危機」 融資先の不祥事相次ぐ リスク管理の再点検必須(記事冒頭のみ)
地銀の正常債権に対する引当が大幅に減っている一方で、融資先の粉飾決算など、不祥事によるリスクが高まっているという記事。
「全国の地方銀行・第二地方銀行が融資先の不祥事に苦慮している。優良先の資金流用、粉飾決算による破綻が起きるなか、審査の緩みなどを指摘する声がある。倒産に備えて積む貸倒引当金は平成金融危機時の半分に減少した。備えの薄さが露呈し金融庁は警戒を強めている。」
具体例として、東和銀行の顧客による融資金流用や、きらやか銀行融資先のトガシ技研の粉飾決算などを挙げています。
正常債権は30年前には170兆円強だったのが、300兆円超と1.7倍に増えているそうです。それに対して、引当の方は、2003年3月期が1兆5500億円に対し、7900億円弱に半減しているとのことです。
背景として、記事では、金融検査マニュアルの廃止にふれています。マニュアルがなくなった結果、「引当金を厳格に積まなくなった可能性がある」といっています。
貸倒引当金に関する会計基準レベルのルールは1ミリも変わっていないのに(ASBJで、金融資産の減損に関する会計基準を検討している最中です)、引当金計上基準が変わっているかもしれないというのは、おかしな話です。要するに、銀行の決算は、会計基準というより、金融庁のさじ加減次第ということなのでしょう。
当行取引先による融資金の流用事案発生について(東和銀行)(PDFファイル)
「当行高崎支店の取引先である特定の債務者(法人)から、多数の紹介を受けた法人および個人(以下、関係する取引先)に対する融資において、特定の債務者へ資金流用等がされていたことが判明し、また、関係する取引先の一部において融資申込に際しての必要書類(以下、融資申込書類)の改ざん等が行われておりました。
また、関係する取引先に対する融資申込書類につきましては、行員 2 名が見積り書等の原本確認をしないままお預かりするなど、適切な取扱いをしておりませんでした。」