会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

金融庁、AIJ投資顧問に業務停止命令1カ月 (日経より)

金融庁、AIJ投資顧問に業務停止命令1カ月

AIJ投資顧問という投資顧問会社が企業年金から運用受託していた約2000億円の大部分が消失しているという記事。同社に対しては、金融庁から、24日付で1カ月の業務停止命令が下されています。

「AIJの不適切な業務内容は1月下旬に始まった証券監視委の検査で判明した。同社は運用開始以来、最大で240%の利回りを確保していると顧客に説明してきた。だが、監視委は説明と異なり、約2000億円の年金資産が大幅に消失している実態を把握した。浅川社長らは「運用資産の状況について説明できない」と当局に語っているという。」

「今後、金融庁と監視委はAIJの年金資産が毀損した経緯や資金の流れなどについて実態解明を急ぐ。市場環境の急変などで運用に失敗したのか、最初から年金資産を運用せずに資金を流用したのかなどが焦点になる。金商法違反で刑事告発することも視野に入れている。米国では2008年、ナスダック・ストック・マーケット(現ナスダックOMXグループ)のバーナード・マドフ元会長が運営するヘッジファンドの詐欺事件が発覚した。」

「同社の開示資料などによると、11年9月末時点で124の企業年金から1984億円の資産を受託していた。企業年金の運用会社としては大手に次ぐ規模。」

この会社に運用を委託していた会社からすると、退職給付会計を適用する際に使われていた年金の運用実績の数値がでたらめだったことになり、過年度の決算の修正が必要かどうか検討しなければならないでしょう。過年度を修正しないとしても、現在の年金資産の状況がどうなっているのかがすみやかに把握できなければ当期の決算も組めないということになります。

この投資顧問会社の預かり資産については、おそらく、公認会計士・監査法人による監査の対象にはなっていないのではないかと思われます(監査していたとしたら責任は免れません)。会社自体の決算も、資本金から推測すると、会計監査人監査を受けていないと思われます。

不正のタイプとしては、(これからさらに明らかになってくると思いますが)マドフ事件のようなねずみ講的詐欺事件(ポンジ・スキーム)ということでしょう。

AIJ投資顧問株式会社に対する行政処分について(金融庁)

「当社が顧客との間で締結した投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用について、証券取引等監視委員会の検査を通じて疑義が生じている。現時点で毀損額・毀損原因は精査中であるものの、投資家に現在の運用状況を説明できない状況にある。」

金融庁、投資一任業者263社を一斉調査へ(日経)

遅くともマドフ事件が発覚した時点でやるべきだったのでは・・・。
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