会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝 損失が6800億円 米国の原発事業にからみ(毎日より)

東芝 損失が6800億円 米国の原発事業にからみ

東芝の米国原子力事業の損失がわかったという記事。損失の査定は完了したようです。

「経営再建中の東芝で、米国の原発事業にからむ損失が6800億円程度になることが25日、わかった。」

「東芝は当初、損失額を4800億円と見込んでいたが、米国で査定を進めた結果、大幅な上ぶれが確実になっていた。先週末に完了した査定結果を踏まえ、上ぶれ額が2000億円程度になることが判明。原発建設プロジェクトのコストが一段と膨らむことが主因とみられる。同社は今週に入って主要取引行に経緯を説明しており、2月14日に損失の詳細を公表する方針。最終的に損失額が上下する可能性もある。」

今後の資本増強策は...

「東芝の自己資本は16年9月末段階で3632億円昨秋時点で17年3月期の最終(当期)利益1450億円を見込んでいるが、損失が6800億円に膨らめば、自己資本や利益は吹き飛び、赤字どころか債務超過に転落しかねない。このため、分社化する半導体事業に出資を仰いで資金を調達し、資本を増強する。

3月末までの入金を確保するため、出資比率は独占禁止法上の手続きが簡略化できる20%未満にとどめ、19.9%程度とする方針。既に米コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)など複数の投資ファンドを対象に入札に向けた手続きを始めた。キヤノンなどの取引企業にも出資を打診した模様で、2000億~3000億円程度を調達したい意向だ。東芝テックなどの上場子会社の株式や、不動産などの売却も検討。保有する東芝病院(東京都品川区)の売却も候補に挙がっている。」

細かいことを言うと、上期末の自己資本に通期の利益を足したら、上期の利益が二重に計上されてしまうのでつじつまがあいません。

また、子会社に外部の出資を受けても、非支配株主持分になる部分もあるので、その全額が株主持分になるわけではありません(記事で「自己資本」といっているのは、純資産ではなく(米国基準の)「株主資本」の数値です)。また、個別決算では、子会社への外部からの出資は親会社の自己資本のプラスにはなりません(子会社株式売却益の部分は純資産のプラス要因)。(6800億円というのはおそらく連結での影響額ですが、個別決算への影響はどうなのでしょう。)

いろいろな資本増強策が報じられていますが、その数字がそのまま自己資本のプラスになるわけではなさそうです。また、会社の存続となると、連結だけでなく個別の数字も重要です。
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