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倫理委員会(2023年12月27日)の議事要旨等の公表について(社会的影響度の高い事業体(PIE)などを議論)(日本公認会計士協会)

倫理委員会(2023年12月27日)の議事要旨等の公表について

日本公認会計士協会の倫理委員会(2023年12月27日)の議事要旨等が公開されています。

協会の倫理規則改正案(→当サイトの関連記事)について議論がなされたようです。特に、社会的影響度の高い事業体(Public Interest Entity:PIE)の定義などです。PIEに該当すると、独立性や品質管理のルールがそうでない場合よりも厳しくなります。

以下、議事要旨より、委員の発言、協会の回答など。

「〇 PIE の範囲について、法定監査の対象となる事業体のみに限定しているが、その線引きでよいのか。法定監査の対象ではないが、PIE とすべき事業体はないという結論なのか。

(ご意見への対応)
法定監査で線引きをすることは考え方の一つであり、必ずしもそれによって判断するわけではないが、今後、法定監査の対象となった場合には検討が必要になると考えている旨を回答した。」

(公開草案の解説をざっと見た範囲では、逆に、法定監査先がすべてPIEになるわけではないようです(この点は従来と同じ)。)

〇 改正案の第 400.24 A1 項において、会計事務所等がその他の事業体を PIE として取り扱うかを決定することが推奨されているが、この規定の前提にも、法定監査の対象となる事業体のみを PIE として取り扱うという考え方が含まれるのか。

(ご意見への対応)
法定監査の対象となる事業体のみを PIE とするという考え方が含まれているかについては、必ずしもそのような考え方ではなく、近い将来、例えば IPO 等によって PIE となることが想定されるケースなどにおいて、法定監査以外の場合でも PIE とするケースも考えられる旨を回答した。」

(現行ルールがどうなっているのかはよく知りませんが、監査事務所が決定するPIEというのもあるようです。)

〇 学校法人に関して、文部科学省所轄の大学が PIE に該当することになるかどうかの検討はされたのか。

(ご意見への対応)
学校法人についても検討を行い、PIE には含めないという結論となった旨を回答した。」

(「社会的影響度の高い」大学もあると思いますが、どこかで線引きしないといけないのでしょう。)

「〇 改正案の第 400.24 A1 項において、会計事務所等がその他の事業体を PIE として取り扱うかを決定することが推奨されているが、信用金庫や信用組合については、どのように考えればよいか。倫理委員会有識者懇談会でも懸念の意見があったようであるため、確認したい。

(ご意見への対応)
一定規模以上の信用金庫等については、従来も会計事務所等が任意で PIE とする事業体の例示として挙げられており、また、PIE としない場合であっても、ローテーションに関して PIE と同様の取扱いが要請される事業体の例示として挙げられている。今回の見直しは、この考え方が大きく変わるものではなく、実務の定着等も踏まえて、各会計事務所等にお
いて検討することになる旨、また、この点については、公開草案に対する質問事項として広く意見を伺う予定である旨を回答した。」

信組の破綻が金融危機の先駆けだったということもあります。信金信組は、本来はPIEなのでは。)

〇 改正案の R400.22 項(4)では、PIE として取り扱うべき事業体として、法令又は本規則によって、社会的影響度の高い事業体として取り扱われる事業体が規定されているが、当該規定に該当する事業体は、公認会計士法上の大会社等と考えればよいか。

(ご意見への対応)
その理解のとおりである旨を回答した。」

(日本では、公認会計士法上の大会社等とほぼイコールとなる?)

倫理委員会より前の12月19日には、倫理委員会有識者懇談会という会議が開催されており、そこでも、PIEが議論されたようです。

倫理委員会有識者懇談会(2023年12月19日)の議事要旨等の公表について

「公認会計士法上の大会社等について PIE に該当するかどうかの検討は実施したのか。

(質問への回答)
 公認会計士法上の大会社等については、IESBA 倫理規程における PIE に該当するかどうかについての検討を行った。検討の結果、今回は全ての公認会計士法上の大会社等が PIE に該当するものと整理したが、例えば、公認会計士法上の
大会社等における会計監査人設置会社の金額基準を始めとして、経済状況を踏まえた見直しなどは、今後の検討課題として認識している。」

信用金庫を PIE としなかった理由については、しっかりと説明できるようにする必要がある。

(質問への回答)
 信用金庫については、社会的影響度の程度を評価する際に考慮する要因を総合的に勘案し、慎重に検討を行った結果、会員組織形態の事業体に該当するとともに、営業地域が一定の地域に限定されていること、経営分析や資本増強等を
含む信用金庫経営力強化制度等により業界全体として信用力の維持及び向上や財務上の破綻の未然防止が図られていること、監督省庁や中央金融機関の監督の状況等を考慮し、PIE の範囲には含めないこととした。」

そのほか、年金基金についての質疑応答もありました。

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