金融庁の証券取引等監視委員会は、ユー・エム・シー・エレクトロニクス株式会社における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、法令違反の事実が認められたとして、課徴金納付命令発出の勧告を、2021年1月29日付で行いました。
「当社の連結子会社は、売上の過大計上、買掛金の過少計上による売上原価の過少計上、在庫の過大計上による売上原価の過少計上等の不適正な会計処理を行った」、その結果、「「重要な事項につき虚偽の記載」がある...有価証券報告書及び四半期報告書を提出した」とされています。
・平成28年3月期、平成29年3月期、平成30年3月期、平成31年3月期有価証券報告書
・平成28年6月第1四半期、平成28年9月第2四半期、平成28年12月第3四半期、平成29年6月第1四半期、平成29年9月第2四半期、平成29年12月第3四半期、平成30年6月第1四半期、平成30年9月第2四半期、平成30年12月第3四半期四半期報告書
が対象です。
そのほか、有価証券届出書(株券の募集)(平成28年2月9日提出と平成30年5月24日提出)の虚偽記載も指摘されています。
影響額を平成31年3月期有報で見ると、連結損益計算書が、「売上の過大計上」、「売上原価の過少計上」により、「親会社株主に帰属する当期純利益が▲2,098百万円であるところを858百万円と記載」、連結貸借対照表が、「当期、当期前の売上の過大計上及び売上原価の過少計上による純資産の過大計上」により、「連結純資産額が17,444百万円であるところを26,588百万円と記載」となっています。
(損益計算書は赤字を黒字にし、純資産は5割超も水増ししています。)
勧告された課徴金額は、3億9,615万円です。
証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告及び特別損失の発生に関するお知らせ(PDFファイル)
課徴金の勧告が出たのは1月ですが、会計上は、2021 年3月期第3四半期の連結財務諸表において特別損失に計上予定とのことです。
虚偽記載疑いで課徴金3・9億円勧告 監視委、埼玉の会社に(産経)
「監視委によると、平成28年3月期~31年3月期の有価証券報告書などに、同社の中国やタイの子会社が売り上げの過大計上や売上原価の過少計上をしたことによる虚偽記載があった。監視委は不適正な会計処理で、純利益約59億円を過大計上していたと認定した。」
59億円水増し電子機器会社勧告(NHK)
「証券取引等監視委員会によりますと、この会社は東証1部に上場する2年前の平成26年からおととしまでの6年間、中国の子会社の売り上げを水増しするなど不適切な会計処理を繰り返し、上場後は有価証券報告書にうその記載をしていたということです。
決算に過大に計上された利益の総額はおよそ59億円に上るということで、監視委員会は金融商品取引法に基づき、3億9000万円余りの課徴金を命じるよう金融庁に勧告しました。」
当サイトの関連記事(2019年11月)(過年度有報等の提出について)
その2(監査法人などへの訴訟について)
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