会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

銀行規制における会計情報の意義(日本銀行金融研究所)

銀行規制における会計情報の意義

公式見解ではないとされていますが、日本銀行金融研究所から「銀行規制における会計情報の意義」という論文が公表されています。

「本稿の目的は、銀行規制における会計情報の意義を議論することにある。具体的には、銀行規制において会計情報がどのように利用、調整されているのかを概観し、論点となり得る会計上の特性を整理する。また、既存の学術研究を概観することで、調整の意義を確認する。検討の結果、会計情報は銀行規制においていわゆる「契約支援機能」を果たしているものの、多くの調整が必要とされている事実が改めて確認された。また、調整の有無の背景を、その他の包括利益累計額(AOCI)、繰延税金資産のれん貸倒引当金、負債の公正価値変動を例に検証したところ、規制の目的上、必然的に調整が必要とされる会計項目の存在が確認された。加えて、会計情報の主観性、保守性、損益の実現(リスクからの解放)といった会計上の特性が、銀行規制における会計情報の意義を考えるうえで、特に重要な要素と整理された。」

40ページ強の論文です。金融機関の監査などに関わっている人には参考になるかもしれません。

この論文は、会計情報から銀行規制への影響を論じているようですが、日本の場合、逆に、銀行規制・監督から会計基準・会計処理への影響の方が大きいようにも思われます。例えば、銀行への検査が厳しいと、貸倒引当金が増やされたり、繰延税金資産の回収可能性を厳しく限定したりということが、10年ほど前まではよく報じられていました(今もある?)。また、検査マニュアル廃止で、貸倒引当金をどうするという議論も出ているようです。
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