おなじみの八田教授に、「第三者委員会」のことについて聞いたインタビュー記事。
オリンピック誘致わいろ疑惑の第三者委員会も批判しています。
「2016年8月に出された日本オリンピック委員会の調査チームによる報告書も酷かったですね。2020年オリンピック招致の際、日本側が国際陸上競技連盟会長で、国際オリンピック委員会(IOC)委員に400〜500万ドルの金銭を支払ったという疑惑です。
外部の弁護士などを交えた「調査チーム」が約3カ月の調査を行い、招致活動はIOCの倫理規定に抵触するようなことはやっておらず、法的に問題はなかったと結論を出しました。
しかも、この報告書は一部のメディアに資料配布は行われましたが、ホームページ上などで公開していません。こうした報告書はまさに公共財として一般にも開示されるのが通例であって、公益財団法人という立場からしても非公開は許されないのではないでしょうか。
その後、日本オリンピック委員会前会長の竹田恆和氏が、贈賄の疑いでフランス当局から取り調べを受けていたことがわかります。竹田氏は会見を開き、「不正はなかった」「それが証拠に報告書でも問題ないと言っている」と話しました。自分の禊のツールとして使っているんです。」
第三者委員の選任については...
「一番大事なのは独立性、第三者性だと考えます。大まかに言えば、独立性・中立性を中心として、専門性、倫理性・誠実性を備えていることです。
また、案件に即した形でメンバーを選ぶべきです。その案件が自動車の排ガス規制ならそれに詳しい技術者、大学のことなら大学の教育に関わっている人、耐震性なら建築関係の専門家が委員に入らなければいけません。
これまでも、第三者委員会が設置される理由として多いのは、架空取引、粉飾、利益水増しなど会計や連結決算絡みの問題です。最近では、コンプライアンス違反が急増していますが、それでも会計まわりの案件が多数を占めています。ところが、第三者委員会のメンバーになるのは、会計や監査の門外漢と思しき弁護士が多く、公認会計士などの会計のプロは少ないのが現状です。」
報酬についてふれています。
「報酬については、多いものでは弁護士ら委員への報酬に数億円の支払いがあるといいます。委員会が開示しなくても、最終的な報告書がでた後に、会社が概算でもいいから明らかにすればと思います。透明性のある形での「開示」というのは、下手な法律を作るよりも機能しますから。」
第三者委員会の報酬といえば、最近も、会社の規模からすれば多額の調査費用(全部が報酬かどうかはわかりませんが)を特別損失に計上した会社の開示がありました。
特別損失の計上に関するお知らせ(ALBERT)(PDFファイル)
「2020年6月15日付「特別損失の計上検討に関するお知らせ」でお知らせいたしましたとおり、2020年12月期に実施した外部調査委員会による調査に伴う調査費用として、総額190百万円の特別損失の計上を検討しておりましたが、金額が確定したため、本日、調査費用として総額176百万円の特別損失を計上することといたしました。 」
年間の売上高見込みが30億円弱の会社です。
不祥事の後始末に多額の報酬を支払ったことがばれてしまうと、株主の怒りに油をそそぐことにもなりそうです。隠したい会社の方が多いかもしれません。
この本のプロモーションの一環でしょう。
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(電子書籍版です。紙の本も別にあります。)