独ワイヤーカード社の不正を例に、会計不祥事が止まらないという記事。
後半部分で監査の問題にふれています。
「決算が適正かどうかを点検する監査法人が、これだけ大きなごまかしに気づかなかったのは驚きだ。監査は、世界4大監査法人の一角のアーンスト・アンド・ヤング(EY)が担当してきた。EYは手続きに不手際がなかったかを自ら調査し、明らかにすべきだ。
不正会計が止まらない背景には、会計監査の構造問題が指摘されてきた。監査法人は企業から監査報酬を受け取り、経営・税務コンサルティングなど監査以外の仕事でも企業から報酬を得ることが多い。なれ合いに陥り、監査が甘くなりやすいとの指摘は当然だ。
18年の建設大手カリリオンなど大型の企業破綻が相次いだ英国ではこのほど、監督当局が4大法人に監査部門の独立運営を求める指針を公表した。ワイヤーカード問題の発覚で、監査法人の体制変更を求める声はさらに強まろう。」
日本の大手監査法人は、近年、加盟しているビッグ4事務所のブランドを強調する傾向にありますが、海外で同ブランドの事務所がへまをやると、とばっちりもありそうです。
監査法人内の監査部門独立運営については、日本の監査法人の場合、あらた以外は、監査以外の部門の売上は比較的小さな割合(2割に行かない程度)であり、その他の業務分野は別法人(合同会社や税理士法人など)が主に担当しているので、組織的には、すでに独立しているといえなくもありません。しかし、ビッグ4のグローバル組織としては、監査だけでないトータルの売上増を目標に、日本としての、あるいはアジア地域やグローバルとしての一体的経営を要求してくるでしょうから、独立という方向性とは矛盾が生じてくる可能性はありそうです。
企業から監査報酬を受け取っているという点に関しては、別の方法があるのでしょうか。
最後の方で、日本の監査にもふれています。「東芝やオリンパスの不正会計を機に始まった監査改革は緒に就いたばかり」とのことですが、東芝・オリンパス以前の山一証券やカネボウも忘れないようにしたいものです。(いつまでたっても「緒に就いたばかり」のようです。)
会計不祥事はドイツだけではありません。こちらは、米国で上場している中国企業の会計不祥事(当サイトでも先日取り上げました。)。
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ナスダック上場中国宝飾企業 金メッキ延べ棒で不正融資疑惑(NEWSポストセブン)
「ことの発端は2015年以降、賈氏が金融機関に対して「83トンの金の延べ棒を所有しており、これを担保にして融資をしてほしい」ともちかけたこと。賈氏は信託会社など15社から総額200億元(約3000億円)の融資を受けた。
しかし、債権者である東莞信託や民生信托が担保の金の延べ棒の品質検査を要求。賈氏はかたくなに拒んだが、東莞信託の担当者が今年2月、同社に乗り込み、金の延べ棒を検査したところ、銅に金メッキを塗っただけのものだったことが明らかになった。
これを受けて、他の金融機関も調査を要求。民生信托などが5月、裁判所を通じて倉庫を調べたところ、83トンの金の延べ棒はすべて金メッキが施された銅だったことが分かったという。」
財務諸表への影響はわかりませんが、金融機関をだましていたことはたしかなようです。
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