ビックカメラが、不動産流動化に伴う会計処理の見直しなどを行い、2004年8月期から2008年8月期までの決算の訂正を行ったという記事。
「ビックカメラは、2002年に行った池袋本店などの不動産流動化について、売却処理としていたが、これを借入金として処理する。SPCへのビックカメラの出資は5%弱だったものの、同社の当時の社長が実質的な株主だった豊島企画との合算では5%を超えるためだという。」
不動産流動化の会計処理で訂正が行われた初めてのケースではないかと思います。
過年度決算の訂正に伴う影響額について(PDFファイル)
「当社は、平成14 年8 月23 日に当社池袋本店ビルおよび当社本部ビルの不動産流動化を実行いたしましたが、本件流動化の会計処理については、当社のリスク負担割合が5%以下であったことから、「特別目的会社を活用した不動産流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第15 号)」に定める売却処理の条件を満たしているものとして、売却処理(オフバランス処理)をしておりました。また、株式会社豊島企画の株主は名義人である個人3名でありましたが、同社の実質株主は当社代表取締役社長(当時)であること、更に同社の資金調達に同人の担保提供があることから、当社としては財務諸表等規則第8条第4項第2号ニおよび第3号により同社を当社子会社と判定するべきと認識しました。
その結果、当社と豊島企画との合算でのリスク負担割合は5%を超過しておりましたことから、本件流動化については売却処理でなく金融取引処理で処理することが適切と判断して、平成14 年8 月に遡り不動産を資産計上(オンバランス処理)することとしました。」
これだけ読むと、今回の訂正で子会社にした豊島企画は、ビックカメラの社長が実質株主であり、また担保提供により資金援助していたということですから、ビックカメラの支配する子会社というより、社長の支配する会社のようにも思えます。純粋な外部の投資家ではないということははっきりしているようですが、これだけでビックカメラの子会社というのはどういう理屈なのでしょうか。もちろん、子会社かどうかは別として、関連当事者には該当するので、要注意であることはたしかです。
訂正の影響額を見ると、2002年(平成14年)8月期(単体)で固定資産売却益26億円を取り消しています。あまり大きな金額ではありません。連結の方は2004年(平成16年)8月期から訂正していますが、2005年8月期は32億円の当期純利益増、2007年8月期は15億円の減少、2008年8月期は62億円の減少です。
貸借対照表の修正については何もふれておらず、どのような影響があるのかわかりませんが、買い戻した固定資産の簿価が水増しされていたということになるのでしょうか。
正式の訂正報告書提出は2月上旬から中旬ということです。その際にはさらに詳しい事情が明らかになることでしょう。
また、今回の訂正をきっかけに、不動産流動化について、監査人は今まで以上に慎重に検討するようになるでしょう。金融機関がもってきたスキームをそのままのみこんでしまうと、たいへんなことになるおそれがあります。(国による流動化スキームである民都による不動産取得(買い戻し条件付き)はどうなのでしょうか。)
もっとも今の金融危機で不動産流動化にブレーキがかかっているとしたら、結果として影響は出てこないということになります。
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