千人を超える弁護士・法学者が賛同して人質司法の解消を訴える声明が出されたという記事。
「日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告人の逮捕を受け、「冤罪弁護士」として知られる今村核弁護士が、4月10日、東京・丸の内の外国特派員協会で会見した。ゴーン氏の逮捕により海外で高まった日本の「人質司法」への批判の声を「刑事司法改革につなげたい」と述べた。
また、人質司法の解消を訴える声明(「『人質司法』からの脱却を求める法律家の声明」)に、4月8日までに1010人の弁護士や法学者が賛同したことも明らかにした。声明では、日本の取り調べや身体拘束が「自白を得る拷問のようだ」として、司法制度の改善を求めている。」
「今村弁護士は、戦前の司法省が裁判官と検察官両方の人事評価をしていたことや、戦後も検察官が裁判官室に出入りして裁判記録を借りるような慣行を紹介した上で、「法廷では弁護士だけが客のような扱いを受けている。判検(裁判官と検察官)一体の伝統は続いていると言わざるをえない」とした。
また「ある検察幹部は『記事は書かせるものだ』と言っていた。マスコミを広報誌にしようとしており、メディアの責任も重い」と指摘した。」
声明の内容については...
「日本では取り調べの受忍義務があるとされる上、起訴前の保釈制度がない点を指摘をし、「長期間の拘束と取り調べで虚偽自白に陥る被疑者は少なくない。虚偽の自白調書で有罪判決を受けることがある」。また、起訴後に否認していると保釈されにくいとも指摘した。
人質司法の具体例として、郵便料金を巡る虚偽公文書作成などの疑いで起訴された元厚生労働省官僚の村木厚子氏の事件や公選法違反を巡る鹿児島・志布志事件を紹介。」
日本の刑事司法制度は、ガラパゴス化しているのでしょう。
声明文はこちら。
↓
「人質司法」からの脱却を求める法律家の声明
「起訴前の保釈制度は存在しない。起訴後も、黙秘または否認する被告人は「罪証隠滅のおそれ」があるとして、容易に保釈されない。身体拘束はさらに長期化する。郵便不正事件では、厚生労働省の局長だった村木厚子氏が郵便法違反、虚偽公文書作成罪で起訴された後、約4ヶ月間勾留された。仮に有罪となっても執行猶予付きの判決が見込まれていた事件である。その後、同氏の関与は疑いの余地なく否定された(2010年判決確定)。鹿児島県の志布志事件では、多くの高齢者を含む十数名の市民が、選挙法違反という軽い罰金刑が見込まれる罪で起訴され、最大395日拘束された。自白した者はすぐに釈放される一方で、否認を貫いた者は何度も保釈を請求してようやく認められた。最終的に架空の事件であることが認められ、起訴された全員が無罪となった(2007年判決確定)。否認する被告人に対する拘束期間は同じように長期間に及ぶ。」
「「人質司法」は、裁判への出頭の確保という本来の目的を超えて、身体の自由や黙秘権、公正な裁判を受ける権利などの日本国憲法上保障された人権を侵害するものである。「否認する以上、釈放せずに取り調べを受けさせる」という運用は、長期間の身体拘束や長時間の取り調べによる苦痛を自白獲得の手段として用いるものと評価されてもやむを得ず、拷問の禁止にすら反する。無罪推定の原則や拷問の防止、弁護人立会権の保障などの様々な国際人権基準にも違反する。」
日産ゴーン事件は、開示・不正会計をめぐる問題ですし、金融庁の監視委のトップはガラパゴス化した検察から横滑りした人ですから、会計・財務関係者にもまったく無縁の話とはいえないでしょう。
ゴーン氏は慢性腎不全、再逮捕は違法=弁護団資料(ロイター)
「弁護団資料は「再逮捕は違法」とした上で、ゴーン氏が高コレステロールの治療の結果慢性腎不全と横紋筋融解症を患っていることを明らかにした。横紋筋融解症は、筋肉をつくっている骨格筋細胞に融解や壊死が起こり,筋肉の成分が血液中に流出する病気。
弁護団は「検察捜査の便宜のために」治療を中断することは「非人道的」と再逮捕を批判した。」
元号の政治利用とゴーン裁判のフェアトライアル問題(YouTube)
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