財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ(PDFファイル)
スターゼン(東証プライム)のプレスリリース(2024年1月15日)。
2019年3月期から2023年3月期の内部統制報告書の訂正報告書を提出し、財務報告に係る内部統制は有効でない旨を記載したとのことです。
具体的には、ある営業拠点で架空循環取引が発覚したことにより、内部統制の再評価を行ったそうです。
「1.開示すべき重要な不備の内容
当社は、2023年10月下旬の当社監査部の内部監査において、過年度より不適切な取引が行われていた疑いがある旨の報告を受けました。具体的には、当社の1営業拠点(以下、「当該営業拠点」という。)において、当社の従業員が過年度より循環取引(取引先数社と当社従業員による架空売上げの循環)等の不適切な取引を行い、当社における架空在庫及び取引先に対する架空売上げが生じている可能性があることが判明いたしました。当社は、本件判明後、速やかに調査を開始し、進めておりましたが、更に徹底して網羅的な調査を行うため、2023年11月8日、弁護士及び公認会計士の外部専門家による特別調査委員会を設置し、同日より調査を進めてまいりました。
当社は、特別調査委員会から2024年1月15日に調査結果報告書を受領し、当該営業拠点において、過年度より特定の取引先との間で、架空循環取引が2018年8月頃から長期間継続的に行われていたこと、さらにこれら架空取引の結果、架空在庫が計上されていたこと等の報告を受けました。なお、当該架空循環取引への当該営業拠点以外の当社従業員の関与は認められておりません。
当社は、これら不適切な会計処理による影響は限定的であるため、過年度の決算の訂正は行わず、2024年3月期第2四半期連結財務諸表に反映しております。
しかしながら、当社は、調査結果報告書で判明した事実を踏まえ、当社の全社的な内部統制及び業務プロセスに係る内部統制の再評価を行い、以下の内部統制の不備を認識しております。(以下省略)」
特別調査委員会の調査結果報告書受領に関するお知らせ(PDFファイル)(40ページほどの調査結果報告書が添付されています。)
1月15日に提出した2024年3月期第2四半期報告書の四半期連結財務諸表では以下のような注記がなされています。
「(追加情報)
(実在性を確認できない取引に関する事項)
当社は、当社の従業員により2018年8月以降行われた循環取引(取引先数社と当社による架空売上の循環)等 の不適切な取引が行われている疑義について、2024年1月15日に特別調査委員会より受領した調査結果報告書 における調査結果を踏まえ、取引の実在性を確認できないものについての売上高及び売上原価の取り消しを 行っております。これに伴って、当該取引の支払総額1,346百万円を仮払金として流動資産の「その他」に含めて計上するとともに、受取総額1,355百万円を仮受金として流動負債の「その他」に含めて計上しております。 今後、本件に関する関係者との協議をしていく方針ですが、状況によっては、当該仮払金及び仮受金が、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。」
本来、仮払金や仮受金がこんなに大きな金額で残るというのはまずいでしょう。そもそも、資産性・負債性があるのかどうか...
あるいは、架空取引により支払った金額は返還されるべきものだから未収入金、受け取った金額は返金すべきものだから未払金としたうえで、相手先との協議中と注記しておくか...
「スターゼンは15日、従業員の循環取引など不適切な取引について特別調査委員会の調査報告書を発表した。2019年3月期から23年4〜9月期までの売上高で計5億8200万円、売上総利益で計2億3400万円のマイナス影響が生じたという。財務諸表への影響は限定的だとして過年度決算の訂正は行わないという。」