印紙税廃止論を取り上げた長めの記事。
「17世紀オランダで始まり、日本で1873年(明治6年)に導入された印紙税。契約書や領収書などの「紙」に課税するため、文書税とも呼ばれるが、同じ内容でもメールや電子契約などデジタル文書には課税されない。企業に膨大な事務負担を課し、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代にそぐわない印紙税は見直しが必要だ。」
銀行業界の「コミットメントレター」が印紙税の対象かでもめたという話、税務調査で納付漏れを指摘された例などを述べています。
そもそも、どのくらいの税収なのか...
「印紙税は切手に似た「収入印紙」を貼って納付する。郵便局やコンビニなどで購入できる。年間売り上げなどを合計した「印紙収入」は年約1兆円に上る。このうち行政手続きの手数料などを除いた、税金としての印紙税収に正確な統計はない。財務省は年約2800億円と推計。年々減少が続く。」
さまざまな廃止論を紹介しています。
「経済界からの反発は根強い。「大量の印紙購入に事務手続きなど考えると非常に負担は重い」。東証1部に上場するある不動産会社の幹部は話す。「社会の中で事業を行う企業として利益に対して一定の税負担は当然だ。ただ印紙税は何に対する税金なのか分からず、全く納得感がない」
経済産業省は約10年前から税制改正の要望を提出。高額商品の領収書に印紙税がかかる百貨店の業界団体は1948年から廃止を要望する。日本百貨店協会によると会員企業(74社、179店舗)全体の税負担は年20億円程度。担当者は「個人の生活に付随した文書まで課税する国は稀有(けう)だ」と話す。
銀行通帳にも印紙税がかかる。銀行業界全体で少なくとも年600億円以上の負担で、みずほ銀行が新規の通帳発行1冊につき1100円の手数料導入を決めた背景の一つに税負担がある。デジタル通帳なら印紙税は不要だ。アナログへの"ペナルティー"のような税がデジタル化を後押しする皮肉な構図がある。
与党内でも見直し論が上がる。公明党の西田実仁税制調査会長は「時代に合わず、不公平さがあるのは明らかだが、廃止には代替財源が課題だ」と指摘する。
東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹は「紙なら課税され、デジタル文書ならば課税されないというのは極めて不合理。税は公平性が重要で不信感が募れば税制全体が揺らぐ恐れもある」と話す。」
契約の締結やカネのやりとりの証拠を紙で残すことは、企業の内部統制にとっても重要です。印紙税は、内部統制に税金をかけているとみることもできるでしょう。こういう不合理な税金は早く廃止すべきでしょう。
そういえば、印紙がもったいないからといって、監査契約書正本を1通しかつくらず、1通はコピーで代用するというせこいことをやっていた例も思い出します。
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