日本航空が繰越欠損金により免除される税金の額を、国土交通省が試算した結果が公表されたという記事。
「国土交通省は9日、9月に再上場を予定する日本航空が、2018年度までの9年間に支払わずにすむ税金の額は、法人税を中心に計3110億円になるとの試算を明らかにした。」
「この日開かれた自民党の国土交通部会で国交省が明らかにした。法人税が免除されるのは、会計上の赤字の「繰り越し欠損金」と利益が相殺されるため。・・・」
日本航空は有価証券届出書を8月3日に提出しており、3千億円超というのは、そこに記載されている繰延税金資産の注記の金額(繰越欠損金による繰延税金資産の金額)と、だいたい一致しているようです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/45/4f4b9a98e4d650192db0e85b3a8df701.png)
(2012年3月期)
評価性引当額は約4900億円もあります。
税効果会計の本来の考え方からすると、フルに繰延税金資産を計上して、各期にそれを取り崩していかないと、税引前利益と税金費用が正しく対応しないことになりますが、日本航空の場合、現行ルール上は、回収可能性の観点から、ほとんどを引当しなければならないのでしょう。
税金費用の期間配分と貸借対照表のいずれを優先するのかという点で、現行ルールは後者を優先しているのでしょう。
損益計算書の税金費用を、繰延税金資産をフルに計上した場合の法人税等調整額と評価性引当額の増減分を差し引きする形式で表示するのが財務諸表の利用者にとって親切なのかもしれません(現行ルールでは認められていませんが)。
有価証券届出書(PDFファイル)
ちなみに、監査人はあずさ監査法人となっています。
再上場目前のJAL、ANA・自民党が反発(東洋経済)
大儲けのJALが「法人税ゼロ」 税金で救済された企業の社会的責任は(ダイヤモンドオンライン)