金融庁の証券取引等監視委員会が、金融商品取引法違反の疑いで、投資助言会社「アブラハム・プライベートバンク」を行政処分するよう金融庁に勧告したという記事。
「監視委は、同社が投資家に中立の立場で助言する事業をしていたのに、顧客が海外ファンドに投資した金額に応じて、ファンド側から報酬を得ていたと認定した。」
「同社が顧客に「(ファンド側から)販売手数料は受け取っていない」などと説明していたのは、同法が禁じる誇大広告にあたるとし、ともに今回の勧告理由とした。」
販売会社がファンドから手数料を受け取ること自体は違法ではないようですが、金融商品取引業として登録せずに、投資助言業を装っていたことが問題となっています。
また、投資を助言した実績のないファンドの利回りを広告に使っていたこともあったそうですが、これは悪質です。
監視委:アブラハム処分勧告 虚偽広告疑いも(毎日)
「同社はホームページに「販売手数料はもらっていない」と表示し、中立的な立場で助言していると強調していた。雑誌広告では、同社が勧めたことのないファンドを「利回り15・34%」と紹介していた。これらについて監視委は「著しく事実に相違し、または誤認させる広告」と判断した。」
監視委の勧告はこちら
↓
アブラハム・プライベートバンク株式会社に対する検査結果に基づく勧告について(金融庁)
「顧客による海外ファンドの取得に関しては、その大部分について、当社の取締役が自ら株主となって国外に設立したSagacious Trend International Co.,Ltd.(以下「STI」という。)が、海外ファンドの発行者、又は海外ファンドの発行者から委託を受けている運用会社との間の委託契約に基づき、当社顧客による海外ファンドの購入額に応じた報酬を受領しているとともに、STIが報酬を受領する都度、当社の100%親会社であるアブラハム・グループ・ホールディングス株式会社(以下「AGH」という。)において、当該報酬と同額の債権がSTIに対して計上されている。
当社は、AGHと役員及び事務所を同じくし、当社社員は全てAGHからの出向者であるとともに、AGHへ管理業務全般を業務委託している。STIについても、当社の取締役が自ら株主として設立した法人であるとともに、当社及びAGHが業務上の意思決定を行い、契約書におけるSTIの住所及び電話番号が当社と同一であること等から、3社は当社の業務に関し実質的に一体であると認められる。
よって、3社は、実質的に一体となって、海外ファンドの商品内容の説明・取得申込手続のサポートを顧客に行うことにより、海外ファンドの取得契約を成立させ、顧客の海外ファンドの購入額に応じた報酬を受領しており、このような行為は、発行者のために募集又は私募を取り扱う行為と認められる。」
受け取った報酬をSTIにプールし続けていれば、(税金などの問題は別として)言い逃れができたのかもしれませんが、その場合には、宣伝費などの経費を賄うことができなかったのでしょう。
「過去5年間の年平均利回りとして15.34%というパフォーマンスを上げていた投資商品は、当社顧客が投資対象を選択するに当たり選択肢となり得る投資商品の一つではあるものの、当社は、当該投資商品の取得を顧客に助言したことはなく、顧客が当社の助言を受けて当該投資商品を取得した事実もない。」
会社のプレスリリース
証券取引等監視委員会による行政処分の勧告について
元金融担当大臣も宣伝塔になっていました。
海外投資新聞
大手監査法人や関東財務局まで宣伝に使っていました。
(10月2日の同社ホームページより。クリックすると拡大。現在は消えているようです。)
「いつかはゆかし」の化けの皮(FACTA2013年4月号)
投資助言会社 中立装い勧誘か(NHK)
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