DMMビットコイン、増資などで500億円調達-暗号資産流出を補償へ
DMM系の暗号資産交換業者から巨額ビットコインが不正流出した事件(→当サイトの関連記事)の続報。
グループ会社から、流出額より少し多い資金を調達するそうです。
「暗号資産(仮想通貨)交換業者のDMMビットコインは5日、不正流出した顧客のビットコインの保証に向けた財務基盤確保のため、グループ会社からの増資や借り入れにより、500億円を調達すると発表した。
発表によると、増資により7日に480億円、劣後特約付き借り入れで10日に20億円を調達する計画。既に3日には50億円を借り入れたという。流出相当分のビットコインは市場への影響に配慮しながら調達するとしている。流出の原因については調査中という。」
DMMビットコイン「流出482億円」補償の胸算用 自己資本81億円でも「全額補償を即日発表」の背景(東洋経済)
「同社はDMM.comグループ傘下企業。直近で開示されている2022年度時点での顧客口座数は37万、預かり資産は404億円。国内交換所で中堅規模に位置する。
今回の流出規模は、国内だと2018年のコインチェック事件の約580億円に次ぐ。」
流出原因はまだあきらかにされていません。
「DMMビットコインは現在、被害状況の詳細については調査中としている。ただ、インターネットに接続していない「コールドウォレット」から流出したとみられている。
国内の交換業者には顧客資産の分別管理義務がある。日本円などの法定通貨は信託銀行で管理し、暗号資産は実質的にコールドウォレットで100%管理する、としている。
流出の直接的な原因をめぐっては、ネット上での議論がかまびすしい。取りざたされているのは、故意の内部犯行説やマルウェア(悪意のあるプログラム)感染などの過失説だ。
だがコールドウォレットが、ネットから隔離した専用端末で、複数人による管理が徹底されていたのかなど、そもそもの運用体制から検証されるべきだろう。」
分別管理については、監査法人が監査法人が監査しているはずですが...
DMMビットコイン不正流出「5つの疑問」、なぜ他と「一線を画す」のか?(Yahoo)
「DMMビットコインによる今回の不正流出は、取引所が法制化される以前の黎明期に起こったマウントゴックス事件や、暗号資産取引所の登録が開始された段階で「みなし仮想通貨交換業者」として認可取得中だったコインチェックが起こした流出事案とは明確に異なる。
法制度が整備されてモニタリングも行われるようになった中で暗号資産交換業者として認可登録を行っているDMMビットコインによる不正流出は、金額の大きさもさることながら、暗号資産取引所運営の根本的な見直しにつながりかねないという点で、マウンドゴックスやコインチェックと同列に論じることはできない。」
金融庁によるモニタリングはどうなっていたのでしょう。
金融相、利用者保護へ適切に対応 DMMビットコインの不正流出で(東京新聞)(共同通信配信)
「鈴木俊一金融担当相は4日の閣議後記者会見で、暗号資産(仮想通貨)交換業のDMMビットコイン(東京)で起きたビットコインの不正流出について「原因究明を含めた取り組みをフォローし、利用者保護の観点から適切に対応したい」と述べた。」
会社は全額補償するようですから、利用者保護は達成されるのでしょうが、数百億円もの資金が犯罪者に渡ったおそれがあるという点は、大問題でしょう。
この会社は、登録されたきちんとした会社でしょうから、うそはいわないのでしょうが、あやしい業者なら、盗難と報告しながら、実はマネロンだったという事態はありうるでしょう。
「金融庁はマウントゴックスの事故を受けて仮想通貨の交換業者に登録制を導入し、19年には顧客から預かった仮想通貨の95%以上をインターネットから切り離した「コールドウォレット」などで管理することを義務付けた。
DMMビットコインも顧客資産をコールドウォレットで保管していると説明していた。規制にのっとって安全性が高いとされる手法を採っていたにもかかわらずなぜ事故が起きたのかを解明することが再発防止の第一歩になる。」
【重要】暗号資産の不正流出発生に関するご報告(第二報)(DMM Bitcoin)
「グループ会社からの資金支援につきましては、以下のスケジュールにて実施する予定となりましたのでご報告いたします。
6月3日 借入による資金調達:50億円(実施済み)
6月7日 増資による資金調達:480億円
6月10日 劣後特約付借入による資金調達:20億円」
「流出相当分のビットコイン(BTC)につきましては、市場に影響を与えないよう配慮しながら調達を進めてまいります。」
「不正流出の原因究明等につきましては、現在も調査を継続して実施しております。」
事業報告[令和 5 年 3 月期](DMM Bitcoin)(PDFファイル)
2023年3月期の事業報告によると、会計監査人は永和監査法人だそうです。もちろん、監査人は、ビットコインの不正流出が生じないと保証しているわけではないので、責任はありません。