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第51回 企業会計基準諮問会議議事概要(「継続企業」及び「後発事象」に関する会計基準の開発ほか)(企業会計基準委員会)

第51回 企業会計基準諮問会議議事概要

2024年7月24日に開催された企業会計基準諮問会議(→当サイトの関連記事)の議事概要です。

週刊経営財務の記事のとおり、「継続企業」と「後発事象」の基準開発について議論があったようです。

「事務局から、日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管を行うプロジェクト(以下「移管プロジェクト」という。)の一環として2024年6月21日にASBJより公表された「継続企業及び後発事象に関する調査研究」の結果を踏まえ、「継続企業に関する会計基準」の開発について再度ASBJの新規テーマとして提言すること及び「後発事象に関する会計基準」の開発を再開することについての事務局の分析について説明がなされ、ASBJの依頼に基づいて企業会計基準諮問会議の意見を伺いたい旨の説明がなされた。」

「事務局からの説明及び提案について、以下のとおり企業会計基準諮問会議の委員より意見が聞かれた。

継続企業に関する会計基準の新規テーマの提言及び後発事象に関する会計基準の開発の再開に賛同する意見として、複数名の委員より以下の意見があった。

  • 特に継続企業については、財務諸表作成者が注記を行う上での判断基準が会計基準に定められていることが重要であると考える。
  • 現在、議論が進んでいる国際監査基準の改正の影響により、二重責任の原則の観点から継続企業に関する注記をこれまでの実務指針に基づく実務よりも充実させることが必要となる可能性にも留意し、基準開発を進める必要があると考える。
  • 後発事象の検討にあたっては、財務諸表の公表の承認日の概念を取り入れ、会社法における計算書類と有価証券報告書における財務諸表公表の承認日がそれぞれ異なることになった場合、後発事象の取扱いが両方で同一となることを重視する必要があるかについても検討した方が良いと考える。
  • 事務局提案には同意するが、特に継続企業に関する注記については、基準開発を通じて経営者の責任において自ら注記すべきであるとの意識が醸成されることや注記の性質が誤りなく伝わることを期待している。
  • 後発事象については、会社法及び金融商品取引法に基づく開示制度が併存する我が国固有の状況を踏まえて慎重に検討すべきであると考える。

一方、継続企業に関する会計基準の新規テーマの提言及び後発事象に関する会計基準の開発の再開に反対する意見として、1 名の委員より以下の意見があった。

  •  継続企業に関する会計基準及び後発事象に関する会計基準の開発については、過去に開発が完了しなかった問題点等の分析をまず行うことが重要であると考えており、移管プロジェクトを契機として会計基準の開発を進めることには反対する。

これらの意見を受けて議長が確認を行ったところ他に反対はなかった。このため、議長より、審議の結果、継続企業に関する会計基準について、コンセンサスが得られたと判断し ASBJに新規テーマとして提言することとし、また、後発事象に関する会計基準については、検討を再開することに同意する旨を ASBJ に伝えるとの発言がなされた。」(議事要旨(1)より)

ということで、1名の反対意見はあったものの、基準開発・検討再開に同意するという結論です。(「会社法及び金融商品取引法に基づく開示制度が併存する我が国固有の状況を踏まえて慎重に検討すべき」というのも反対論に近いような気がしますが)

事務局の関連資料。詳しい論点はこれを見た方がよいかもしれません。

資料(1)-4-1 継続企業に関する会計基準の開発(PDFファイル)

資料(1)-4-2 後発事象に関する会計基準の開発(PDFファイル)

「継続企業」と「後発事象」以外には、以下の3つのテーマを議論したようです。

  • 株式報酬に関する会計処理及び開示の整備について
  • 実務対応報告第19号「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」の改正
  • バーチャルPPAの会計処理について

(ところで、継続企業に関する事務局資料では、

「米国会計基準会計基準更新書(ASU)第 2014-15 号「財務諸表の表示-継続企業(Subtopic 205-40):継続企業の前提の不確実性に関する開示」が公表され」

とありますが、検索してみると、「継続企業の前提の不確実性に関する開示」のところは、原文では「DISCLOSURE OF UNCERTAINTIES ABOUT AN ENTITY’S ABILITY TO CONTINUE AS A GOING CONCERN」であり、「前提」に対応することばは見当たりません。逆に「ABILITY TO CONTINUE」の訳語が抜けています。誤訳ではないでしょうか。)

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