日本公認会計士協会は、11月に開催された自主規制モニター会議の議事要旨及び会議資料を公表しました。
協会の自主規制モニター会議というのは、「協会が実施する自主規制の制度が適切に機能し、社会からの理解が得られるものとなるよう、その運営状況をモニタリングし、大局的な視点で意見を述べ、又は助言を行うことを職務」としている組織です。
以下、議事要旨から委員の発言の一部を抜粋しました。
継続的専門研修制度における不適切事案への対応について
「協会は、公認会計士が社会に貢献するための能力構築にこれまで以上に注力すべきである。現状、CPE の単位取得が目的になっているように見受けられるが、公認会計士が、職業会計人としての社会的使命を強く意識し、これに資するための能力構築手段として継続的専門研修制度があることを正しく認識することが重要である。業務の複雑化、急速な技術革新等を踏まえ、制度の在り方について必要な検討をされたい。」
新型コロナウイルス感染症対応下の監査の実施状況に関する調査について
「新型コロナウイルス感染症対応下の緊急的・暫定的な監査対応は、いずれ監査の新常態になっていくと思われる。デジタル・トランスフォーメーションへの影響も出てくると考えられるため、今般の調査の活用を期待したい。」
「中小監査事務所において新型コロナウイルスの感染者が生じ、監査業務の継続が困難な事態に陥った際の対応について、協会として整理し、必要に応じて情報提供を行ってもらいたい。」
循環取引について
「日本独自の現象であり、循環取引が繰り返されれば日本企業の財務諸表に対する信頼が揺らぐ。監査人の守秘義務に係る制約がある中で、早期発見・防止のためには企業の協力がなければ対処できない問題とも思われる。業界の慣習的な兆候等があった際に注意喚起できるアイデアがあるといい。」
(循環取引は本当に日本独自のものなのでしょうか。中国あたりでは、実体があるのかないのかわからないようなあやしい商取引に日本企業子会社が巻き込まれ、資金を吸い取られてしまうということがあったのでは。)
監査規制に関する国際的動向(被監査会社への非監査業務の提供に係る規制強化)について
「利益相反の観点からの個別的な規制として理論上は理解できるが、監査業務と非監査業務の分離の徹底を求めることになれば、専門性や知識の集積が妨げられ、高度な専門性が要求される監査人のレベルの低下に繋がりかねない。適切に管理し、両立させることが、監査に携わる者の基本的な立場であり、結果として公共の利益にも資することになるのではないか。」
「ファイヤーウォール等の措置を適切に活用し、監査業務と非監査業務の両立を図ることで、非監査業務についても高い水準のサービスを受けることができるという利用者の期待にも応えてもらいたい。」
(協会がいってほしいと思っていることをいっているようです。)
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