財務会計基準機構の基準諮問会議は、法務省から提案のあった「取締役等の報酬等として金銭の払込み等を要しないで株式の発行等をする場合における会計基準の開発」を、書面による承認により、企業会計基準委員会の新規テーマとして提言することを決定しました(2020年1月29日)。
「2019年12月11日に会社法の一部を改正する法律(以下「会社法改正法」)が公布されたことに伴い、法務省から同日に「取締役等の報酬等として金銭の払込み等を要しないで株式の発行等をする場合における会計基準の開発」について新規テーマの提案が行われた。」
「会社法改正法は、その附則第1条において、公布の日から起算して1年6か月を超えない範囲において政令で定める日から施行するとされており、会社法改正法の施行日までに法務省令の改正が必要なことを考慮すれば、提案されている会計基準の開発を行う場合には、迅速な対応が必要と考えられるため、本提案は対応に一定の緊急性を要する提案であると考えられた。」
どのような改正なのか...
「1 会社法改正法の概要
⑴ 上場会社において、取締役等の報酬等として募集株式の発行又は自己株式の処分をするときは、金銭の払込み等を要しないこととする(第 202 条の2第1項、第3項)。
⑵ 上場会社において、取締役等の報酬等として新株予約権を発行するときは、新株予約権の行使に際して金銭の払込み等を要しないこととする(第 236 条第3項、第4項)。
⑶ 取締役等に対する報酬等としての株式の発行により資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定めることとする(第 445 条第6項)。
2 想定されている典型的な株式報酬の形態
⑴ 事前交付型
事前に譲渡制限を付した株式を交付し、一定期間の勤務や一定の業績目標等の達成等によって譲渡制限を解除するもの。譲渡制限が解除されなかった株式は会社が無償取得する。
⑵ 事後交付型
一定の業績目標等を達成した場合など、事後に株式を交付するもの」
事務局コメントによると、「「ストック・オプション等に関する会計基準」を参考にできる点も多いと考えられ、適時に会計基準の開発は可能」と判断しているそうです。
株式の発行価額は会計基準の問題ですが、その内訳(資本金又は準備金)を決めるのは、法律問題のようにも思われます。法務省は、法律問題も含めてASBJに丸投げしてしまったのでしょうか。
最近の「企業会計基準委員会」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事