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当社連結子会社元社員による不正と損失計上について(博報堂DYホールディングス)

当社連結子会社元社員による不正と損失計上について

博報堂DYホールディングス(東証1部)のプレスリリース。

連結子会社で不正が発覚し、多額の損失計上を行ったとのことです。

「博報堂プロダクツ元社員(2021 年 1 月 29 日付懲戒解雇)は、2016 年からの 4 年間にわたって同社名を騙って金券及び商品券の発注を行い、入手した金券及び商品券を現金に換金し、当該発注の代金を支払うために金券及び商品券の発注と現金への換金を繰り返していました。また、換金により得た現金の一部を元社員が個人的に使用していたことを確認しております。

当該発注は、同社の業務とは関わりのない、元社員による不正な詐欺行為ないし背任行為ではありますが、民法の表見代理または使用者責任に基づき、同社としての発注先への支払い義務があることが顧問弁護士への相談等により確認されたため、同社にて金券及び商品券発注先に対する未払い分の支払いを行うことといたしました。

この結果、当社グループの損失額の合計は約 27 億 10 百万円となり、2021 年 3 月期第 3 四半期連結決算において同額を特別損失として計上することといたしました。」

不正な取引の主体は、あくまでこの元社員であって、会社ではない(名前を使われただけである)から、過年度に虚偽記載があったわけではないが、発注先に対する法律上の責任があるので、代金請求に応じざるを得ない、したがって、過年度訂正ではなく、請求があった当期の損失とするということでしょうか。

詳しい経緯は...

当社元社員による不正と損失計上について(博報堂プロダクツ)

「【現時点で当社が把握している事案の概要】

2016年、当該元社員は当社の業務とは関わりなく、社名を騙った発注によって金券を調達し、金券ショップで換金、現金化していました。当該代金を支払うために、金券購入代金と金券の換金分との不足分(換金率によって金券満額分の換金はできないために生ずる)については、同様に金券を不正に追加発注し、金券ショップで換金、自身の個人口座に入金した後、発注先への振り込みを自ら行いました

換金率分の不足を補う金券及び商品券の追加発注と金券ショップでの換金、発注先への支払いを繰り返し、不足分が増加していく自転車操業を4年にわたって続けた結果、昨年12月時点での金券及び商品券代金の未払い合計金額は約43億3千万円となっています。なお、本人が換金した16億2千万円は当社にて保全しております。

業務とは関わりなく行われたことから、当社としては把握することができず、昨年12月に、発注先からの残高確認によって事態を認識するところとなり、現時点までの社内調査によって状況を把握したものです。」

「今回の事案が換金可能商品の利用により発生したことから、換金性の高い物品の取引を当面、原則禁止といたします。」

相手先も40億円超の債権が溜まっていたことになります(複数の取引先に分散されていた?)。不自然さを感じなかったのでしょうか。危ないと思ったから、残高確認したのかもしれませんが...。

また、会社の発表だけでは、この元社員の動機がわかりません。ギャンブルか何かのための一時的な資金調達のつもりだったのでしょうか。いつか返せると思って取引を繰り返すうちに、雪だるま式に膨れあがってしまったのかもしれません。最初から私的流用するつもりなら、何かの費用に紛れ込ませるなどできそうなものです。

博報堂子会社の元社員 金券の換金繰り返し 約27億円損失計上(TBS)

「会社側の聞き取りに対して元社員は「車の購入や住宅ローンの返済などに充てた」と話したということで、懲戒解雇されました。会社側は警視庁に相談し、法的措置を検討することにしています。」

普通に考えると、車や住宅ローンで20億円超にはならないでしょう。単純な横領だけで、自転車操業がなければ、会社の損失はもっと小さかったのかもしれません。

博報堂、子会社不正で27億円損失 元社員が金券など換金(日経)

博報堂といえば、7億円架空取引詐欺事件があったばかりです。

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