企業会計基準委員会は、「連結財務諸表に関する会計基準」などの一部改正を、2011年3月25日付で公表しました。連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点について見直しを行ったものです。
改正されたのは以下の基準や指針などです。
・「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)
・「一定の特別目的会社に係る開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第15号)
・「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第22号)
・「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第20号)
改正の概要は以下のとおりです。
1.特別目的会社の取扱い
支配力基準を定めた企業会計審議会の「連結財務諸表制度における子会社及び関連会社の範囲の見直しに係る具体的な取扱い」では、「三 特別目的会社の取扱い」で、支配しているかどうかの判断規準の例外として、一定の要件を満たす特別目的会社は、当該特別目的会社に対する出資者及び当該特別目的会社に資産を譲渡した企業の子会社に該当しないものと推定するという取扱いが定められており、その規定は現行基準にも引き継がれています。
今回の改正では、この例外規定を、資産の譲渡者のみに適用することとしました(連結財務諸表に関する会計基準7-2項)。(要件を満たしていても、特別目的会社に対する出資者の子会社になることはありうるということになります。)
2.ノンリコース債務の開示
連結の範囲に含めた特別目的会社に関して、ノンリコース債務(当該特別目的会社の資産及び当該資産から生ずる収益のみを裏付けとし、他の資産等へ遡及しない債務)を、連結貸借対照表上、他の項目と区別して記載します。注記によることもできます。
また、ノンリコース債務に対応する資産について、当該資産の科目及び金額を注記します。
3.経過措置
1の適用により新たに連結に含められる子会社について、適用初年度における経過的な取扱いが定められています。
4.匿名組合について
商法上の匿名組合出資について、営業者及び匿名組合が、いずれも匿名組合員の子会社に該当する場合において、当該匿名組合の事業を含む営業者の損益のほとんどすべてが匿名組合員に帰属するようなときは、営業者ではなく匿名組合自体を連結の範囲に含めることが適当であるとされました。
適用時期は、2013年(平成25年)4月1日以後開始する連結会計年度の期首からです(早期適用可)。
めずらしく、委員全員の賛成ではなく、1名(みずほフィナンシャルグループの執行役員)の反対意見が付されています。
なお、会計基準のコンバージェンスの観点から、引き続き、特別目的会社に関する連結の範囲の取扱いの見直しを検討していく予定とのことです。
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