日本経団連が会計基準のコンバージェンスについて、わが国の取り組みに関する基本的な考え方を取りまとめたというプレスリリース。
この意見書では、コンバージェンスの動向を簡単に説明したあとで次のように述べ、国際会計基準、米国基準とのコンバージェンス作業を加速する必要があるとしています。
「このような国際的な流れに遅れをとるならば、わが国企業の海外での資金調達に支障を及ぼすのみならず、日本基準が世界から孤立し、わが国証券市場の信頼低下にもつながりかねない。」
例えば、ある企業のライバル企業が欧米中韓印の各地域にあるような場合を考えてみると、それらライバル企業がすべて国際会計基準(または国際会計基準とコンバージェンスされたと称する自国の基準)を採用しているのに、日本企業だけが独自性を打ち出した(言い換えると独善的な)日本基準を採用している場合には、資金調達だけでなく、何かのきっかけで日本企業異質論が浮上し営業面などで不利な影響が出てくるかもしれません。従来は、どの国も少しずつ会計基準が違っており、日本の独自性が目立たなかったのが、日本以外でコンバージェンスが進み、日本基準の異質な点がクローズアップされることにより、思わぬ悪影響が出てくるおそれがあります。
この意見書のように経済界がコンバージェンスに関心を示すのはいいことだと思いますが、税務との調整をうるさくいったり、リース会計の見直しに消極的だったり、日本企業の特質を反映した基準にすべきだと主張したりと、従来、経団連はコンバージェンスの推進には否定的だったようにも思われます。それなのに、会計基準の相互承認を要求するなど、非現実的な要求を掲げてきたわけですが、考え方は変わったのでしょうか。
ちなみに、相互承認については「2008年にEUにおいて日本基準がIFRSと同等と評価された場合には、日本企業の日本基準でのEU上場とEU企業の国際会計基準での日本上場について、政府レベルで相互に正式承認すべきである」と述べています。「政府レベルで」というのは、金融庁に対して、ASBJに丸投げしないでしっかりやれといっているのでしょう。(ただ、「EU企業の国際会計基準での日本上場」はすでに認められているので、交渉条件にはならないと思いますが・・・。)
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