会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業統治「日本のトップ5」はどこか(日経ビジネスより)

企業統治「日本のトップ5」はどこか
第1回コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーについて伊藤邦雄氏に聞く


一橋大学の伊藤邦雄教授にインタビューした記事。日本取締役協会の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」などについて聞いています。

大賞となった企業について。

「大賞となったブリヂストンは、津谷正明会長兼CEO(最高経営責任者)が悩みながらガバナンス改革に取り組んできたことがよく分かるケースです。歴史をさかのぼれば、同社は米ファイアストンの買収後に難題を抱えたりして大変苦労しました。そこで、現地の経営陣を入れ替えて、ガバナンスを組み直したことが奏功した。

それから米国企業におけるガバナンスの研究を本格的に始めて、米国法人の業績も急回復しました。重要性、有効性を確認した経営陣が日本の本社のガバナンスにも取り組んだという流れです。そして、今度の株主総会では、監査役会設置会社から委員会等設置会社に変わるのですね。」

法的な形式は関係ないそうです。

「審査のときには、監査役会設置型と、より先進的と言われる委員会等設置会社の区別はしなかったのですか。

伊藤:区別しませんでした。それらの形によって、ガバナンスのレベルが決まるわけではありません。問われるべきは、高いレベルのガバナンスが実現できているかという実質的な部分です。審査員としては、これを経営者インタビューで探ったわけです。」

M&Aで買収される側のガバナンスは...

「日本にいると、そういう意識は薄いでしょうが、買収される側の米国企業の取締役会は、「1ドルでも高く売る」のが使命なのです。逆に言うと、高い価格での買収を提案されたら、相手がよっぽど変な会社でない限り、買われることを検討しなければならないのです。

 コーポレートガバナンスは、「企業の稼ぐ力を高める」ことが目的の1つですが、この「稼ぐ力」を狭くとらえず、企業の価値を最大に見立ててくれるオファーがあれば、売る決定をするのも取締役会の使命というわけです。

...

 日本企業は、売るときのコーポレートガバナンスという経験がまだありません。未体験ゾーンですね。数年後には、高く売れた会社について「売却時の会社のガバナンスが良かった」ということで、オブ・ザ・イヤーの候補になったりするかもしれない。買われて親会社に吸収されたりしたら、誰を表彰すればいいか、分からなくなってしまうかもしれないけど(笑)。」

シャープの取締役会の決定は、数年後にどのように評価されることになるのでしょうか。
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