第1回コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤーについて伊藤邦雄氏に聞く
一橋大学の伊藤邦雄教授にインタビューした記事。日本取締役協会の「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」などについて聞いています。
大賞となった企業について。
「大賞となったブリヂストンは、津谷正明会長兼CEO(最高経営責任者)が悩みながらガバナンス改革に取り組んできたことがよく分かるケースです。歴史をさかのぼれば、同社は米ファイアストンの買収後に難題を抱えたりして大変苦労しました。そこで、現地の経営陣を入れ替えて、ガバナンスを組み直したことが奏功した。
それから米国企業におけるガバナンスの研究を本格的に始めて、米国法人の業績も急回復しました。重要性、有効性を確認した経営陣が日本の本社のガバナンスにも取り組んだという流れです。そして、今度の株主総会では、監査役会設置会社から委員会等設置会社に変わるのですね。」
法的な形式は関係ないそうです。
「審査のときには、監査役会設置型と、より先進的と言われる委員会等設置会社の区別はしなかったのですか。
伊藤:区別しませんでした。それらの形によって、ガバナンスのレベルが決まるわけではありません。問われるべきは、高いレベルのガバナンスが実現できているかという実質的な部分です。審査員としては、これを経営者インタビューで探ったわけです。」
M&Aで買収される側のガバナンスは...
「日本にいると、そういう意識は薄いでしょうが、買収される側の米国企業の取締役会は、「1ドルでも高く売る」のが使命なのです。逆に言うと、高い価格での買収を提案されたら、相手がよっぽど変な会社でない限り、買われることを検討しなければならないのです。
コーポレートガバナンスは、「企業の稼ぐ力を高める」ことが目的の1つですが、この「稼ぐ力」を狭くとらえず、企業の価値を最大に見立ててくれるオファーがあれば、売る決定をするのも取締役会の使命というわけです。
...
日本企業は、売るときのコーポレートガバナンスという経験がまだありません。未体験ゾーンですね。数年後には、高く売れた会社について「売却時の会社のガバナンスが良かった」ということで、オブ・ザ・イヤーの候補になったりするかもしれない。買われて親会社に吸収されたりしたら、誰を表彰すればいいか、分からなくなってしまうかもしれないけど(笑)。」
シャープの取締役会の決定は、数年後にどのように評価されることになるのでしょうか。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
ユニチカ、祖業の繊維から撤退 「存続へ最後のチャンス」―官民ファンドが再生支援決定(時事より)
2025年は「倒産ドミノ」勃発!?船井電機破産で高まる危機感、企業を襲う物価・人件費・金利高(週刊ダイヤモンドより)
「DMMビットコイン」廃業へ 5月に482億円相当が不正流出 口座などはSBI VCトレードに移管(ITmediaより)
倒産・注目企業情報(株)BALM(旧:ビッグモーター)(東京商工リサーチより)
登記上の本社同一地の最多は4,535社 代表ひとりが兼任する企業の最多は628社(東京商工リサーチより)
特別損失の計上に伴う数値変更見込みに関するお知らせ(監査法人から貸倒引当金の増額につき再協議の申し入れ)(横浜冷凍)
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事