会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

敗訴した監視委、インサイダー取引巡り調査批判も(日経より)

敗訴した監視委、インサイダー取引巡り調査批判も(記事冒頭のみ)

ソフトウェア開発会社、モルフォのインサイダー事件を例に挙げて、監視委の調査を批判的に取り上げた記事。(少し前の記事です。)

「証券取引等監視委員会が2017年にソフト会社の元役員らによる金融商品取引法違反(インサイダー取引)だとして処分勧告をした事案について、2月までに裁判所が監視委が主張した構図をほぼ否定し、裁判で争った全員の処分取り消しが確定した。監視委が描いた不正の全体像が崩れるのは異例だ。弁護士からは「ストーリーありきの調査だった」などの批判が出ている。」

弁護士や会社側のコメント。

「「調査の基本が全く実践されていない」。監視委に処分された企業側の代理人を務めた元検事の吉野弦太弁護士はこう語る。」

「吉野弁護士は「重要事実の決定時期や知った時期を判断するには普段の企業活動や意思決定の過程を丁寧に調べる必要がある。監視委はこうした調査をおろそかにした」と指摘する。」

「モルフォの平賀督基社長は「社員3人についてはインサイダー取引の課徴金納付命令が確定しており、情報管理が甘かった可能性はある」としたうえで「監視委の調査中に会社の実態などについて様々な主張をしたが、受け入れられなかった」と話す。社員の代理人を務めた堀内岳弁護士は「監視委側が描いたストーリーに反する不利な証拠を精査していれば、今回のような誤った処分は行われなかっただろう」とみる。

監視委の調査に基づく課徴金の納付命令を巡り、その後の裁判で処分が取り消される例はここ数年増えている。相次ぐ処分の取り消しは「市場の番人」としての監視委の信頼を損ないかねない。」

金融機関や監査法人のような、営業を続ける限り、金融庁の監督を受け続ける組織の場合は、納得がいかない処分であっても、穏便に済ませようと、受け入れてしまう傾向があるのでしょう。上場企業も、上場している限り、監視を受けるので、そのような傾向があるかもしれません。しかし、一般の個人のインサイダー事件では、身に覚えがない処分で犯罪者になるのはいやだという人もいるので、金融庁のとって都合のいい方に決着するとは限らないのでしょう。

金融庁関係ではありませんが、経済犯罪の刑事裁判で無罪となった人が、逆襲するケースが出ているようです。

愛知製鋼社長を刑事告訴 無罪確定した元専務ら「甚大な人権侵害」(産経)

「トヨタ自動車グループの「愛知製鋼」のセンサー開発をめぐる技術情報を漏らしたとして不正競争防止法違反罪に問われ、無罪が確定した同社元専務、本蔵義信氏と元社員、菊池永喜氏は10日、噓の告訴によって不当に逮捕・勾留されたとして、同社の藤岡高広社長ら3人を虚偽告訴罪で名古屋地検に告訴した。同日、代理人弁護士が地検に告訴状を提出した。」

愛知製鋼と社長らに120億円余の賠償求め元専務などが提訴(NHK)

「本藏さんは、愛知製鋼側が行ったうそにもとづく刑事告訴で逮捕されるなどして、経営する会社で進めていた、独自に開発したセンサーの商品化が妨害されたとして、愛知製鋼や社長などに対して、合わせて120億円余りの賠償を求める訴えを16日に名古屋地方裁判所に起こしました。

訴状などによりますと、刑事告訴やその後の裁判への対応によって、自動運転技術や医療機器への活用を目指していたセンサーの商品化がとん挫し、こうした事業によって得られるはずだった少なくとも130億円を超える利益が失われたほか、本藏さん自身も無罪判決を受けるまでの5年間、多大な精神的苦痛を被ったと主張しています。」

「狙いはベンチャー乗っ取り」愛知製鋼の秘密情報漏らした罪に問われ無罪 元専務が120億円の賠償求め提訴(Yahoo)

「本蔵さんは「愛知製鋼の狙いはベンチャー企業の乗っ取り」と主張していて、5月10日に愛知製鋼などを虚偽告訴罪で名古屋地検に告訴状を提出しています。」

横領無罪、検事2人告発へ 特捜事件でプレサンス前社長(2022年3月)(日経)

「学校法人明浄学院(大阪府熊取町)の資金21億円を横領したとして業務上横領の罪に問われ、無罪が確定した東証1部上場の不動産会社、プレサンスコーポレーション(大阪市)の山岸忍前社長(59)が、大阪地検特捜部で捜査した男性検事2人が関係者2人に違法な取り調べをしたとして、証人威迫などの疑いで、29日にも最高検に告発することが25日、関係者への取材で分かった。

また逮捕や不当な取り調べで長期間拘束されて名誉が失墜し、経済的損害が出たとして、国に約7億7千万円の損害賠償を求め、29日にも大阪地裁に提訴することも関係者への取材で分かった。」

“特捜検事が違法取り調べ”の告発 大阪地検が捜査開始(NHK)

「山岸さんは、取り調べの録音・録画の記録を詳しく分析したところ、捜査を担当した49歳と44歳の検事が、山岸さんの部下らを長時間罵倒して脅したり不安をあおったりして、検察のストーリーに沿う供述を引き出すために違法な取り調べを行い、証人威迫などの疑いがあるとして、ことし3月、最高検察庁に告発状を提出しました。

また山岸さんの部下についても、裁判でうその証言をしたとして刑事告発しました。

弁護団によりますと、大阪地方検察庁が今月11日に告発を受理し、特捜部ではなく刑事部が捜査を始めたと説明を受けたということです。」
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