兵庫県内で特別養護老人ホームや介護施設などを運営する有隣会という社会福祉法人の前理事長が、不動産業者に法人を譲渡し、2億8000万円を受領していたという記事。
「厚生労働省は「非営利目的の社福法人を売買の対象にする行為で許されない」との見解を示す。ただ、売買禁止を明記した法律はなく、許認可権限を持つ兵庫県の担当者は「認可取り消しなどはできない。法整備を急いでほしい」としている。
有隣会によると、前理事長は2010年9月10日、理事長を兼務する医療法人の業務が多忙なことを理由に有隣会の理事長を退任。後任に大阪市内の不動産業者が就任し、残りの理事全員(5人)も一斉に入れ替わった。新たな理事は不動産業者の知人らで、理事長を含む全員が福祉関係の経験はない。その後、県の指導で特養の施設長を新たに理事に加えたという。
この理事長交代を巡り、前理事長は12月、毎日新聞の取材に応じ、「2億8000万円をもらった」と証言した。」
「有隣会関係者によると、不動産業者は、福祉施設や保育所などを併設した開発を計画しているといい、法人購入の目的の一つだったとみられる。」
この不動産業者がもし連結財務諸表を作成していたとしたら、この社会福祉法人を連結に含めるべきなのだろうか、支払った2億8000万円はどういう会計処理になるのだろうか(法人買収の対価として各資産・負債・のれんに配分?)というようなことを考えてしまいました。
新聞記事では「譲渡」と書いていますが、株式のような持分というものが存在するわけではなく、単にカネを受け取って、不動産業者側の人物に地位を譲ったというだけの取引です。しかし、それにより、不動産業者は実質的に法人の意思決定を左右できる力をもったわけです。
たぶん連結基準の「支配」の考え方には該当せず、連結は不要なのでしょうが、自信はありません。
2億8000万円の授受自体は、法律上禁止されていないとしても、一種のわいろみたいなものであり、法人のガバナンスとしては問題があるのでしょう。(理事長に渡すのではなく、法人に寄付していればよかった?)
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