不動産流動化に関する不適切な会計処理が問題となっているビックカメラの創業者会長が責任をとって辞任したという記事。
過年度決算の訂正も公表しています。
調査委員会の調査報告(概要)および再発防止策の公表について(PDFファイル)
有価証券報告書、半期報告書の訂正報告書および有価証券届出書の訂正届出書の提出ならびに過年度決算短信および中間決算短信等の訂正について(PDFファイル)
「訂正内容の概要」では以下のように説明されています(一部抜粋)。
「平成14 年8月に実行した不動産の流動化についての会計処理の見直し
当社は、平成14 年8 月23 日に当社池袋本店ビルおよび当社本部ビルの不動産流動化を実行いたしましたが、本件流動化の会計処理については、「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第15 号)」に定める売却処理の条件を満たしているものとして、売却処理(オフバランス処理)をしておりました。当時、株式会社豊島企画については、子会社・関連会社に該当しないと判断しておりましたが、同社の実質株主は名義人である個人3 名ではなく、当社代表取締役社長(当時)であること、更に同社の資金調達に同人の担保提供があることから、当社としては財務諸表等規則第8 条第4 項第3 号により同社を当社の子会社と判定するべきと認識しました。
その結果、当社と株式会社豊島企画との合算でのリスク負担割合は5%を超過しておりましたことから、本件流動化については売却処理ではなく金融取引処理で処理することが適正と判断して、平成14 年8 月に遡り不動産を資産計上(オンバランス処理)することといたしました。」
豊島企画という会社が子会社に該当するかという点が重要なポイントとなっています。調査報告書(概要)によれば、豊島企画はこの流動化スキームのために設立された会社であり、また、監査人には、社長(当時)が実質株主であることは隠されていたようです。たしかにあやしい関係なのですが、豊島企画の資金調達の担保は(ビックカメラではなく)社長(当時)が出していたわけですから、流動化スキームへの豊島企画分の投資のリスクは(ビックカメラではなく)社長(当時)が負っていたことになり、ビックカメラというより社長が支配していた会社のようにもみえます。
当時のビックカメラは上場前で創業者が支配していたともいえます。そうすると、流動化取引のうちの豊島企画分は、創業者に支配されていた2つの会社間の取引といえなくもありません。規則上は子会社なのかもしれませんが、むしろ兄弟会社間の取引で損益や債務の金額を調整していたのではないでしょうか。
もちろん、そういう解釈をしたとしても、問題を含んだ取引ではあります。たとえば、流動化した物件はその後買い戻されていますが、その買い戻しの時期や金額の決定が、社長が支配していた豊島企画に不利にならないようになされていたとしたら、利益相反取引かもしれません。
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