ヤマトホールディングスが、子会社における法人向け引っ越しサービス料金過大請求問題に関する調査結果を公表したという記事。
「調査委は、過大請求の総額の16%にあたる約3億円が「悪意で上乗せした見積もり」と推認されるとし、一部は組織ぐるみの不正だったと認定した。」
「ヤマトHDは7月下旬、データが残る2016年5月~18年6月の約2年間で過大請求が2640社の計約4万8千件に及び、その総額は約17億円にのぼると発表した。調査委はその後、社員への聞き取りや資料の精査などを進めた。その結果、過大請求の総額のうち84%は、実際に運ぶ荷物が見積もりより減ったのに、見積額のまま請求していたと認定した。
過大請求の原因は、約款に基づいて請求額を修正する可能性があることを大多数の社員が知らなかったためと分析。会社の組織体制や内部通報制度、内部監査などに重大な不備もあったため、過大請求が常態化していたと指摘した。」
ルール不徹底による過大請求が多くを占めているものの、一部は悪意によるものだったということでしょうか。
「赤信号みんなで渡れば…」ヤマト、常態化した過大請求(朝日)(記事前半のみ)
「調査委員会の報告によると、過大請求は2010年ごろに始まった。現行の法人向け引っ越しサービスが始まって2年ほどたってからで、そこから徐々に全国に不正が広がったという。
子会社のヤマトホームコンビニエンス(YHC)が提供するサービスは、家財算出表を使って家財ごとにポイントを積算して見積額を出し、実際に運んだ量に応じて料金を修正して請求する仕組みだ。報告書はこのサービスを「運用が非常に煩雑で困難」で「現場では見積もりの修正を行う具体的場面がわからないなどの問題が発生」していたと指摘。調査委の委員長の河合健司弁護士は「根本的な問題は商品設計にある。2年ぐらいで社員の教育もなくなり、あるべき姿が守られなくなった」と話した。」
ルールどおりに運用されているかのチェックが不十分だったのでしょう。それとともに、実務からルール・仕組みへのフィードバックが必要だったのでしょう。
法人のお客さまの社員向け引越サービスにおける不適切な請求に関する調査委員会による調査結果、および再発防止に向けた今後の対処について(ヤマトホールディングス)
「今回の調査の結果、
・YHCにおいて、商品設計、教育、法人契約、会社の組織体制、社員の処遇面、内部通報制度、内部監査に重大な不備があったこと
・そのために、引越における不確実要素を考慮し、積み残しの支障を回避するために多めに見積りした額を、大多数のYHC社員が約款に基づき修正すべき可能性があることを認識せず、「事前にご了解いただいた見積金額をそのまま請求する」ことが通常の業務オペレーションであると誤って認識していたこと
・一部にこの不備を利用した「悪意で上乗せした見積」があったこと
・さらに、外部、内部から通報があったにもかかわらず、自らかかる重大な不備の発見と抜本的な改善に至らなかったこと
が判明しました。」
不備を放置したことが、悪意による不正にもつながったようです。
調査報告書は70ページほどのものです。
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