会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

不正会計への道は「善意」で舗装されている(東洋経済より)

不正会計への道は「善意」で舗装されている
まじめな日本企業が陥る「本土決戦」思考


経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOの冨山和彦氏へのインタビュー記事。

大王製紙のように、オーナー経営者が会社を私物化し暴走するパターンは世界中であるが、東芝の事件は日本独特の病理だそうです。(両方ともあらたの監査クライアントになるわけですが)

「日本的企業は極めて同質的な共同体であり、その内部においては「現状の共同体内の調和をできるだけ乱してはいけない」という暗黙の同調圧力が働く。特にありがちなのは、かつて企業全体の収益に非常に貢献した伝統事業――シャープであれば液晶、カネボウであれば繊維、東芝であれば家電など――にメスを入れるということがたいへんなタブーになってしまうことだ。社長自身、あるいは前社長で自分を後任に指名した会長がその事業部出身であればなおさらだ。よほど会社が追い込まれてからでないと「メスを入れるのも仕方がない」というコンセンサスは得られず「共同体内の不文律を乱す裏切り行為」と見なされ、社内で権力を維持することができなくなるのだ。

また当該部門も、絶対に負けを認めない。それは自らの保身のためというより、まじめだからこそ、「まだやれる」「がんばらせてくれ」と言うのだ。もちろん「シャープとして液晶事業をなんとかしたい」のであり「ジャパンディスプレイの一部としてがんばる」とか、ましてや「サムソン電子の一部としてがんばる」という考えは、その共同体の中には存在しない。結局、できるだけ「8月15日」を引き延ばそうとして、「次は沖縄で決戦だ」「本土で決戦だ」と、ジリジリと破滅の道を進むのだ。」

「事態が悪化していて現実的な打開策の見込みも見い出せないのに、そこから撤退する決断を下せずに、ジリジリと被害を拡大させていく組織が次にすることは何か。それは、軍であれば大本営発表であり、企業であれば不正会計や粉飾決算だ。」
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