爺ちゃんの戯言(たわごと)

時の速さに置いてきぼり!

鬼平犯科帳に物申す

2016年12月11日 | 日記
長い間ファンを楽しませてきた王道の時代劇、鬼平犯科帳がとうとう12月3日の放送に於いて
本当の最後になってしまった。
今の中村吉右衛門の鬼平は1985年から始まったと言うから足掛け28年間と言う長きに渡った事になる。

原作者の池波正太郎は今の鬼平を演じている吉右衛門の父である松本白鴎(当時は8代目松本幸四郎)をイメージして
執筆したとも聞いている。

そしてドラマ制作にあたりその本人の8代目松本幸四郎を初代の鬼平にキャスティングしたのである。
その頃の最初の鬼平犯科帳は白黒のドラマではあったが素晴らしい出来で随分ワクワクして堪能したが、それでもどんなに、
ひいき目にみても今の鬼平には叶わない。

つまり、息子は鬼平に於いては父親を遥かに超えてしまったのだ。本当に吉右衛門の鬼平は素晴らしいの一語に尽きる。

この吉右衛門の前に丹波哲郎と萬屋錦之助も鬼平を演じたが、吉右衛門に比べたら比ではない。全く別物の時代劇になっていた。

こんな鬼平大ファンの私が気になってしょうがない事がある。
これはかなり前から感じて興ざめすら感じる事なのだが・・・・・・・・尾行シーンである。

もう少しどうにかそれらしく映せないものか?
誰が見ても・・・あれで尾行がバレないはずはないじゃーないか・・・と言う映像なのだ。


そりゃー映画だから良いのだと割り切って観れば済むのだろうが・・・白けさすほどの映像は許せない。


山中を尾行するシーンなどは誰も歩いていない山道を盗賊の後を付けて行く。 たとえ隠れながらとは言え・・・バレバレじゃんと言う映像だ。
山中の盗賊のアジトを数人で見張る場面なども結構酷い。
あれでバレなければ山中に集結している盗賊たちは全員耳の聞こえない目の見えない人間たちなのだろうと思ってしまう。


せっかく丁寧に人の機微まで描いて深い鬼平ワールドに誘われている最中に・・・この白けは罰金物であろう。

また盗賊を見張るために 火付け盗賊の侍たちが見張る場所・・・【見張り所】の設定にしても、もう少し映し方に手があるだろうにと・・・。

前の商人の屋敷に盗賊の一味が出入りしている。これを見張るために向かい側の二階の住家を見張り所として同心達が待機して監視している。


下から見たら覗いているのが丸見えの映し方だ。これで上から見られているのを気が付かなかったら、その盗賊はよほどの間抜けだ!
すだれを掛けるだとか、画面上に紗を掛けるなどの細かい配慮が絶対必要だし ひと工夫すればいくらでも出来るはずだ!

下から映す時には、丸見えの同心達を映すより、すだれ越しに人の姿は映さず同心達の会話の気配で逆に臨場感が湧きそうなものだが・・・
これはひとえに監督、演出家の責任であろう!
こうしてケチをつけるのも鬼平犯科帳の世界を愛すればこその年寄りのわがままである。



この中村吉右衛門の鬼平が連続ドラマ、単発ドラマ合わせて149作が制作されたそうだ。
今回の150作目で完全終幕を向かえた。


私の部屋の棚を陣取っている数多くの鬼平のビデオを、これからも引っ張り出してはどっぷりとその世界を堪能したいと思う。
エンドロールに流れるジプシーキングスのインスピレーションのメロディーに目を閉じて!