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温故知新 デジタル時代の真空管アンプ 

 真空管アンプ
 と聞いてどう言うイメージを持っていますか?
 骨董品 過去の遺物 
 音は良い?と言うけれど、根拠はあるの。
 一部のマニアだけのものじゃないの。50W級のデジタルアンプはAmazonで数千円で入手できる時代なのに、十数Wの真空管アンプが数十万円もする。

 確かにそう言う面もあることは否定しません。
 一度、聴いてみて と言うしかありません。

 真空管アンプだから良いと言うのも違います。
 真空管アンプだから、半導体アンプだから、ICアンプだから、デジタルアンプだからと一把一絡げにするのはどうかと思います。
 良いものは良いし、悪いものは悪い。好みもある。
 聴いた本人が判断することです。

 真空管アンプの出力は小さい。1W未満のものから精々数十Wです。
 有名なMacintosh  275(75W✖️2)は大出力の真空管アンプでした。出力管に五極菅KT88を用い、プッシュプルAB級動作アンプです。

 出力の小さい真空管アンプ時代は、スピーカーシステムは高能率であることを求められました。

 大口径・軽振動板・強力な磁気回路のスピーカーユニットは能率が高い。必然的に大型スピーカーシステムになります。
 一般家庭の普通の部屋に大型スピーカーを持ち込むのは制約が多い。必然的にスピーカーシステムの小型化が進むことになりました。
 従来設計によるスピーカーユニットの小口径ユニットでは重低音は出ません。
 低域を伸ばすにはスピーカーユニットの共振周波数F0を下げれば良い。振動板を重くすればF0は下がる。
 スピーカーから出る音量は振動板面積と振幅量の積で決まる。重い振動板を大振幅させることで重低音は出すことはできます。
 小口径のスピーカーユニットは重低音域では空振り現象が起きて音量は減る。
 *暑い時に顔に冷風を送るには団扇を使う。手で煽っても冷風はあまり感じない。

 重低音を小口径スピーカーユニットで出そうとすると、重い振動板を大振幅で動かさねばならない。空振りも多い。大出力のアンプが必要になる。相対的に真空管アンプは不利です。

 大出力半導体アンプは従来の能率優先のスピーカーを一変させるものでした。
 スピーカーの再生帯域の広域化要求が高まった。JBLのプロフェッショナルシリーズ4343が大ヒットなりました。
 低域再生限界はスピーカーのF0で決まる。振動板を重くすれば下がる。重くなれば能率は下がる。
 下がった能率はアンプの出力で補えば良いと言うことになる。
 真空管アンプは大出力化が難しい。規模が大きく、価格も高くなるで半導体ンプに主役の座を移すことになりました。

 確かに、低能率スピーカーには高出力アンプは有利。現実的には数Wで済む場合が多い。
 となると、真空管アンプの弱点は何?
 古い時代の設計のアンプはLPレコード再生が主だった。LPレコードにはスクラッチノイズがある。レコード傷を拾う。
 当時は現在ほど、残留雑音を気にしなかったと思われます。
 ビンテージオーディオの場合、オリジナル信仰が強い。経年劣化が進んでも、パーツ交換をすると価値が下がる傾向が強い。無交換の場合、パーツが本来の規格を保っていない可能性がある。その結果、残留雑音が増える。
 古い真空管アンプはS/N(サウンド/ノイズ)比が悪い。残留雑音が大きいものが多い印象です。

 今はデジタル音源再生が中心、暗雑音が少ない。
 現代の真空管アンプはデジタル音源の再生を前提にしているので、残留雑音に対しシビアな設計をしている。
   パーツの適正配置。電源部と増幅部の分離。低雑音パーツの採用等・・・これは半導体アンプからフィードバックされたものも多い。
 現代設計の真空管アンプのS/N比は半導体アンプと比べて遜色ない印象です。
 
 静かなアンプはLP再生時にも有利です。微小音がマスキングされない。
 ベルトドライブLPプレイヤーのベルトの摩擦音が気になり始め、ダイレクトドライブ LPプレイヤーを見直しました。

 以上は
 メインアンプ:ラックス製真空管アンプ各種、従来設計の真空管アンプ、全段差動300Bプッシュプルアンプ
 プリアンプ:LUX  CL-36U、Qiicksilver Audio pre amprifire、KRELL KRC-2(半導体式)、SONIC FRONTIRE SFL-2、全段差動プリアンプ
 の相互比較によるものです。
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