小型スピーカーの低音再生は密閉型が良い。理想と書いた。
理想と現実は違う。
市販されているスピーカーボックスの形式はバスレフ型がほとんどです。
超低音再生は諦めて、低音の総量を確保した方が、聴感上、低域が伸びているように感じるからです。
小口径スピーカーユニットでは超低音部でいくら頑張っても空振りするだけで音に変換されません。無駄になるだけです。
無理に振幅を増やせば、その上の音域を濁すことにもなりかねない。
空振りしないようにする方法はあるのか。
スピーカーユニットの前にホーンを付ければ、空気が上下左右に逃げられない。
ホーン内の空気の塊を動かすので、振動板の強度を高めなければならない。駆動するには強力な磁気回路が必要になります。
また、ホーンを付けると、ホーン特有の個性が重なる。特定周波数部分の音圧が増す。
バスレフの共振周波数と同じ理屈です。
また、小型スピーカーユニットなのに、スピーカーボックスは大き目になる。小型化できません。
日本では、住宅事情から大型スピーカーを導入できる環境を持つ人は限られます。内容積の大きなオーディオ専用ルームを持てる方は少ないでしょう。
足して引いて出来上がるのが、バスレフ式小型スピーカーが日本の主流となっているのかもしれません。
また、超低音が出せるオーディオシステムを導入しても、ある程度の大きな空間がなければ、理論上、超低域再生はできないと言うことも知っておくべきでしょう。
以前のブログで小型スピーカーボックスの理想は密閉型。
AR-3Aに代表されるようなエアーサスペンション式ではないかと述べた。今もその考えは変えていません。
問題は、SPシステムとして能率が下がると言うことです。確かに低域再生限界は低い。しかし、伸びていると言ってもダラ下がりです。
ダラ下がり部分をアンプ側で電気的にブーストすれば良いのは理屈ですが、3db/w/m
上げるために、アンプは倍の出力が必要となります。仮に9db/w/m持ち上げるだけでアンプの必要Wは8倍になる。しかも、超低域は空振りで音にならない。
つまり、小型SPでは超低域再生はキッパリ諦めて、バスレフでブーストした方が現実的なのでしょう。
今、愛用のALTEC 620B搭載の604-8Hの中・低域再生を担うの口径38cm。かなり低い低音域まで空振りしないでしょう。アンプでブーストするのもありかと思います。
アンプの出力に関しても問題ありません。604-8Hの能率は103/db/w/m極めて高く、通常の小型スピーカーの能率が85/db/w/mに対し、同じ音量を出すのに必要なアンプ出力は1/64ので済む。17wでもお釣りがきます。
しかし、手持ちのアンプはトーンコートロール機能がありません。一応、プリアンプとパワーアンプは純管球式アンプ。そこにグラフィックイコライザー(半導体)を挟むのは抵抗があるのです。既に実験済み。精神衛生上良くないのでやめました。