ヨナの説教
(ヨナ3:4,5)
「ヨナは初め,
その町にはいると,
一日中歩き回って叫び,
『もう四十日すると,
ニネベは滅ぼされる。』
と言った。
そこで,
ニネベの人々は神を信じ,
断食を呼びかけ,
身分の高い者から
低い者まで荒布を着た。」
○
(ヨナ3:10)
「神は,
彼らが悪の道から
立ち返るために
努力していることをご覧になった。
それで,
神は彼らに下すと言っておられた
わざわいを思い直し,
そうされなかった。」
○
(ヨナ4:1-3)
「ところが,このことは
ヨナを非常に不愉快にさせた。
ヨナは怒って,
主に祈って言った。
『ああ,主よ。
私がまだ国にいたときに,
このことを
申し上げたではありませんか。
それで,私は初めタルシシュへ
のがれようとしたのです。
私は,あなたが情け深く
あわれみ深い神であり,
怒るのにおそく,恵み豊かであり,
わざわいを思い直されることを
知っていたからです。
主よ。今,どうぞ,
私のいのちを取ってください。
私は生きているより
死んだほうがましですから。」
○
(ヨナ4:11)
「まして,わたしは,
この大きな町ニネベを
惜しまないでいられようか。
そこには,
右も左もわきまえない
12万以上の人間と,
数多くの家畜とがいるではないか」
ヨナはニネベに対する
あわれみの使者でした。
ニネベは
アッシリヤ帝国の首都でした。
アッシリヤ帝国は
約300年間世界を支配しました
(前900-605年)。
アッシリヤが
世界勢力となるまでに
興隆したその発端は,
ソロモン治世の末,
へブル王国の分裂の頃でありまし。
アッシリヤは次第に
北王国イスラエルを吸収し,
滅ぼしました。
こうしてヨナ
(その名の意味は「鳩」)は,
使者として神に召されました。
彼の使命は,
自国である北王国イスラエルを
すでに滅ぼしつつあった
敵国の生命を
延ばすものでありました。
彼が安泰方向へ逃れたのも
無理はありません。
これは神の民を襲う
残忍で仮借のない
軍事的機関に対する
愛国的な恐怖でありました。
ヨナはガテ・へフェルの生まれで,
ヤロブアム2世の治世
(前793-753年)に生存し,
イスラエルの失われた
領土のあるものを
回復することに力を貸しました。
(2列14:25)。
こうしてヨナは
預言者であるとともに
政治家でありました。
彼のニネベへの使命は,
イスラエルのある人々から
裏切り行為と
考えられてさえいたかも
しれません。